ドファンブル~蟹江ちゃん先生の混沌異世界冒険記~
メアー
第1話 弱肉強食ゲーム、主なルール説明。
この物語は、メインのストーリーに、サイコロを使用した、ランダム展開の要素を添加した作品となります。この作品を読んで下さっている読者の方も、気軽に介入出来る要素もあるので、ぜひふるってご参加ください。
神奈川県出身の中学教師である【
薄らぐ意識の中、頭の中で聴き慣れない声が、彼女の脳を徐々に覚醒へと導く。
『こんにちは、蟹江静香さん。わたくし共は、【神界機構】というものです』
「これは、ご丁寧にありがとうございます。蟹江静香と申します」
蟹江静香は、自分の置かれた状況も分からないまま、正体不明の相手に対して、呑気に名乗って返事をした。
『細かい事情は追々説明するとして、実はもう時間が全然無いので、手短にご説明いたします。あなたはこれから、人間以外の生き物として生きていく事になります』
「えぇ……! 私死んだんですか⁉ 異世界転生するんですか⁉」
『明確に言えば、死んだわけではないのですが、あなた達は、魔人の呪いによって、命の形を書き換えられてしまい、これから地獄の様な体験をすることになります』
「えっ⁉ どうしてですか⁉ 私たちが何をしたって言うんですか⁉」
『詳しくは転移先で担当してくれるオペレーター、【天の声システム】に解説していただきます。今この場では、疑問を飲み込んで下さると助かります』
「まぁ、私もいい歳なので、ここは飲み込みましょう。ラノベも割と読んでるし」
『助かります。あなた達はこれから魔人の領域に転移されます。そこは過酷な環境下で、ありとあらゆる生物が弱肉強食している世界です。あなたの目的は、その世界で力を蓄え、あらゆる望みを叶える宝具【願いの宝珠】を集めてもらい、その宝珠で、魔人の領域に英霊を召喚してもらう事です』
「だ、大丈夫かな……。まだ展開的に何も起こってないのに、説明のラッシュが入っちゃってる……! もう誰も見てないかもしれない……!」
『あなた結構メタな発言しますね……。この程度で帰るような輩に、この先の長文は読めませんよ。と言っている間に時間切れです。向こうでは神界機構のオペレーターが、あなたの進むべき道を案内をしますので、その指示に従ってください』
「あっ! 説明パート終わり⁉ もしかしてこれから私、酷い目に遭うんですか⁉ 嫌です―っ‼ 嫌ーっ‼」
その後、再び意識を失った蟹江静香は、転移後、しばらくして意識を取り戻した。そして目が覚めた時。彼女は十脚目
いわゆる、カニとして、この世界に呼び寄せられたのであった。
カニ生活 1日目――――――――
「いや、まず、なんで⁉ 苗字が蟹江だからじゃないよね⁉」
『神界機構オペレーターシステム、天の声です。その疑問に解答しますと、貴方の苗字は関係ありません。魔人によって引き起こされた呪いは【弱食の因果】というものです。あなたの人生で、一番ヘタクソに食べられた生物の姿が模られています』
「嘘でしょ⁉ 一番ヘタクソに食べたのが蟹だったの⁉」
『挨拶もしておきたいのですが早速、バトル開始です!』
「なんて⁉ バトルなんかあるの⁉」
『この世界は弱肉強食。油断すれば即座に、外敵の糧になってしまいます。覚悟を決めてください』
「待って待って‼ 自分の状況も分からないのに、戦うなんて出来ないよ⁉」
『
天の声システムがそう言葉にすると、蟹江静香の目の前に半透明のボードが表示される。
〈状態〉 ソフトシェルクラブ
〈名前〉 蟹江静香
HP 10
MP 2
筋力 1
頑強 1
素早さ 1
器用さ 1
知能 1
幸運 1
〈
――――――――――――――――
「弱過ぎぃ‼ 何ができるの⁉ 赤ちゃんじゃん‼」
『まぁ、産まれたばかりですので……』
ふたりが
「あーれー! たすけてー! うぎゅっ! 痛い! うぎゅっ! 丸呑みされる!」
魚は小さな蟹を丸ごと口に放り込み、噛み砕こうとする。
『がんばれ! がんばれ! 抵抗しなければそのまま食べられますよ!』
「ぎゃあああああ! この魚、口の奥に鋭い歯がある! 痛い! 死ぬ! 死ぬ!」
『鋏を駆使してください! 内部から攻撃すれば、ダメージは通る筈です!』
「ちくしょう! こんなところで死んでたまるか! 喰らえ!我が鋏を!」
【2】【3】ダメージを与えられませんでした。
一心不乱に突き出した鋏は、『ぶにゅり』という情けない音と共に砕けた。
「わ、割れた――! 待って! 待って‼ 弱すぎる‼ 私が弱すぎるって‼」
パニックの最中、一筋の線が走る。『シャキン!』と鋭い音を立て、魚の胴体は両断されていた。目の前に現れたのは巨大な鋏。命を両断した無骨な鋏であった。
「うおぉ! 助かった! 怖かったよぉ! この巨大な鋏、きっとこの個体を産んだ大いなる母が我が子を守るために助けに来てくれたんだ――うべっっ!」
『クシャリ』と紙を握りしめたような弱い音と共に、小さな蟹の命は潰えた。蟹江静香。この世界における、初めての死である。
絆の楔が――――――――
――――――――現界へと魂を縛る。
「うわあああっっ!」
蟹江静香が目覚めた場所は、大きな木の
巨大な蟹による、圧倒的な重量さの圧死。柔らかい甲殻は粉々に砕け、内臓は弾けて混ざり、想像を遥かに超えた恐怖が、彼女に襲い掛かる。
「全然だめじゃん! 無理ゲー過ぎるって! なんでこんなに難易度が高いの⁉ それに私、生きてる……⁉」
『生きてます。正確に言えば、『死ねない』ですけど』
「ちょっとまって、それ、本気で言ってる⁉」
『【絆の楔】によって縛られた魂は、転生する事が出来なくなり、目的を達成するまで現界し続ける。というものです』
「何でこんな事になってんの……! 人の心が無いの⁉」
『我々は高度な幾学系技術を素とした、独自の技術形態で進化を遂げた種族であり、あなたたちの様な地球産人類種とは、精神的構造が異なるのですが、ある程度他者に寄り添う人の心は持ち合わせているつもりです。まぁ、私自体システムですが』
「無駄にユニークの才能だけあるじゃん⁉ もっと人間の心を気遣って‼」
『そうですね。この状況を覆すだけの、大きな希望があれば、目的達成のモチベーションも回復できることでしょう』
「くそう! 絶妙に話が噛み合わない! これだからオペレーションシステムは!」
『初めての戦闘と、初めての死を体験していただいたところで、スタートダッシュガチャにチャレンジしていただきたいと思います』
「どういうシステムなのそれ⁉ ガチャなんてあるの⁉」
『この世界に転移される際、【神界機構】より齎された祝福の一つです。あなたの進む道に、一筋の光が降り注ぎますように……。もちろん初回なので、レアリティスーパーレア以上確定ガチャです!』
「やったー! これでこのアホみたいな絶望的状況を打開できる!」
『さぁ、【救済ガチャ】の登場です!』
オペレーターの呼びかけに応え、蟹江静香の前に、ガチャのハンドルが顕現した。そのハンドルには『ゆっくりとまわしてください』の文字が記されている。
「詳細を説明して! このガチャの中身はなんなの⁉ 排出率は⁉」
『このガチャは【神界機構】が持ち合わせている神秘の奇跡によって、
「親切なのか否か判別出来ねぇ~!」
『それでは張り切ってまいりましょう』
「十連ガチャとかではなく、一発勝負?」
『そうですね。スタートアップガチャなので』
「頼む! この詰みの状態を打開して!」
蟹江静香がハンドルを回す。ガチャの派手な演出が射幸心をあおる。
ラインナップ――――――――
1、
2、
3、
4、
5、全
6、鉄巨人の召喚術(SSR)
――――――――サイコロひとつで判定。
4、
ファンファーレが鳴り響く。
『それでは、入手した
〈
対象者、又は物を食べることで、相手の持つ力の一部や、
――――――――獲得。
(正直、この要素がある所為で、物語の構想がめちゃくちゃになる)
『どうやら運命の神が嘆くほど、良い
「まるでゲームみたいだぁ……」
『えぇ、この世界はゲームのようなものです。魔人によって構成された特殊な惑星を丸ごと使用した、超大規模な弱肉強食ゲームなんです。仮想空間とかではなくて、現実ではあるんですけど』
「比喩のつもりで言ったのに、マジでゲームなの⁉ 私そんなアクションとかでの攻略とか難しいのは自信がないよー!」
『そんなあなたでも、ご安心! この世界は、ターン制バトルが採用されています。ある程度じっくり考えて、戦いを行うことが出来ます! ボーっとしてたら死にますけど……、戦略系シミュレーションに近い構造だと考えてください』
「うぅ……! それならソシャゲでやってきたから出来るかも……!」
『それでは、そちらの空間に、戦闘練習用の人形をご用意いたしました。ので、戦闘訓練と参りましょう!』
「お、おー!」
かくして、戦闘訓練は始まった。この作品の読者である皆さまにも、解説しておきます。この世界では、先程、天の声システムが申し上げた通り、ターン制バトルが導入されています。TRPGの様なものと考えてください。判定は全てサイコロのアプリを使用して、不正の無い進行に努めてまいります。(信じてくれとしか言えない)
現在、蟹江静香の
この世界における天敵は、基本的にものすごく強いので、ある一定の壁を越えない限り、かなり淡々とした訓練の描写が続くかと思われますが、そこで、読者の方々が参加可能なシステムが生きてくるのです。
読者の皆様は、【閲覧の神】という程で、蟹江静香に恩恵を授けることが可能となります。恩恵を授ける方法としては、この作品に対し、【閲覧する】【フォローする】【応援をする】【★をつける】【コメントをする】【レビューをする】などがあり、これらを行う事で、それぞれ対応した恩恵をキャラクターに反映させる事が可能となります。
説明――――――――
【閲覧する】PV数の事です。一番小さな恩恵となります。
この数が、そのまま総合経験値に加算されます。一定数に達すると、キャラクターがレベルアップし、冒険が有利に進みます。
【フォローする】この作品をお気に入り登録します。
お気に入りの数に応じて、
【応援する】各話に対してすることが出来ます。♥が特徴です。
これを獲得すると、数に応じて、キャラクターにおける命のストックが生まれます。物語上、蟹江静香は【絆の楔】によって消滅はしませんが、死ぬことで、デスペナルティを受けます。これを打ち消すのに必要です。
【★をつける】物語上でガチャを引くために必要なものです。対象者を倒す事で入手するガチャの権利を手に入れることが出来ます。★ひとつに付き、1回です。
【コメントをする】ここで物語に味付けが出来ます。「難易度を下げて」といえば敵が弱くなり、「難易度を上げて」とコメントすれば、敵が強くなります。現状を難易度【ノーマル】とした場合、最小2段階下がり、最大5段階上がります。※マジで詰むので、救済処置あり
【レビューする】問答無用でレベルが1上がります。
――――――――説明おわり
この説明の間に、蟹江静香は模擬戦闘を終えていた。
「つまり、今の私の攻撃は基本的にダメージが1で、そこに、打ちどころや環境や状況などの運が絡んで追加ダメージが算出されるって訳ね?」
『その通りです。流石は教師、飲み込みが早いですね』
「最早、ルールブック渡してもらった方が早いかもしれない」
『この世界を構築した魔人も中々にガバいので、正確なデータをこちら側が提出することは出来ないんです。まだ、探り探りなもので……』
「とりあえず、私の攻撃、【噛みつき】しかないのやばすぎるでしょ! 鋏はもげた状態のままだし」
『それはおそらく、【デスペナルティ】の影響でしょうね。死んでも魂はこの地に留まりますが、肉体が再生される際に、回復しきれない部分が出てきてしまうのです』
「踏んだり蹴ったりだぁ……! 回復するまでは、鋏を使った攻撃は出来ないと?」
『そうなりますね。残ったもう一本の手を使うという手段もあるにはあるのですが、
「練習で何とかならない?」
『出来なくもないですが、効率がアホ程悪いかと思われます一万回、感謝の鋏素振りでも行いますか?』
「いや、結構です。一日で終わる気がしない」
『外ももう暗いので、夜行性の動物が活動を始めているかもしれません。今日の所は訓練に徹するか、お休みした方が得策かと思われます』
「じゃあもう少し身体をならしておくかな……。この場所、空気もあるし、水もあるから隠れ家としては最適かもしれない……。餌になりそうな苔も沢山あるし、腹ごしらえをしてみよう……。もぐもぐ……。味覚が蟹なせいか、悪くない。食べられる! うわー、味のしない海苔の佃煮みたい!」
『
「おぉ! これ食べ続けたらもっと増えない⁉」
『まだ未知数です。無限とまでは行かないでしょうが、ある程度までは上昇すると思われます』
「水も飲んじゃお!」
『蟹江静香の渇きが解消された』
「何も上がらないか……」
『まぁ、水ですからね……』
魔人の呪いにより、異世界へと迷い込んだ、蟹江静香の運命は如何に、続く。
現在の状態。
〈状態〉 ソフトシェルクラブ(鋏喪失)
〈名前〉 蟹江静香
HP 11
MP 2
筋力 1
頑強 1
素早さ 1
器用さ 1
知能 1
幸運 1
〈
――――――――――――――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます