第12話 交渉の綻び
銃口がルーカスたちに向けられた瞬間、緊張は極限に達していた。背中に冷や汗が流れ、周囲の兵士たちの視線が刺さるように感じられる。即座に行動を起こせば、無事にこの場を切り抜けられるかもしれないが、最悪の結果もあり得る。ルーカスは、目の前の兵士が引き金を引くのを止めるため、冷静さを保とうと必死だった。
「待ってくれ!」ルーカスは声を張り上げた。「俺たちは敵じゃない。これ以上、無駄な戦いをする必要はない。銃を下ろして、話し合おう。」
一瞬、銃を構えた兵士の手が止まった。周囲の兵士たちも緊張した表情でそのやり取りを見守っている。彼らの顔には、戦いに対する疲れと疑念が浮かんでいた。ルーカスの言葉は少しずつ兵士たちの心に浸透しているように感じられたが、それでもまだ完全に安心はできない。
「言い訳するな!」兵士は怒りの表情で応じた。「お前たちはナチスに反旗を翻す裏切り者だ。命令に従わない者は処罰される。それが俺たちの義務だ。」
その言葉に、ルーカスは静かに頷いた。「お前たちが義務を果たそうとしているのは分かる。でも、その義務が本当に正しいものか、今一度考えてほしい。俺たちは誰かを傷つけたいわけじゃない。ただ、この場にいる無実の人々を守りたいんだ。それはお前たちにだって、家族や友人がいるなら理解できるはずだ。」
兵士の目が揺れ動く。ルーカスはその揺らぎを見逃さず、さらに言葉を重ねた。「今ここでお前たちが銃を下ろせば、血を流さずに済むかもしれない。お前たちも、俺たちも。この無意味な戦いを終わらせるための一歩なんだ。」
周囲の兵士たちが互いに視線を交わし始めた。中には銃を下ろしかける者も出てきている。ルーカスは、もう少しでこの場を乗り切れるかもしれないと感じた。しかし、目の前の兵士は依然として引き金を握りしめたままだった。
「…俺たちは命令に従うしかないんだ。」彼の声は震えていたが、それでも決意を感じさせた。「命令を無視すれば、俺たちだって処罰される。」
その時、再びあの若い兵士が一歩前に出た。「もう命令に従うだけの時代は終わった。俺たちは自分で考え、行動するべきだ。ここで正しい選択をしよう。」
その言葉に、目の前の兵士はさらに動揺した。彼は葛藤の表情を浮かべ、銃を握りしめたまま動けないでいる。しかし、若い兵士の言葉が他の兵士たちにも影響を与え、数名がついに銃を下ろし始めた。次々に兵士たちの武器が地面に落ちる音が響き、空気が一気に緩んだ。
ルーカスは深く息をつき、ホッと胸をなで下ろした。しかし、まだ安心はできない。彼らが完全にこの場を制圧したわけではない。周囲には依然としてナチスに忠誠を誓う者がいる。何かのきっかけで再び戦闘が始まる可能性も十分にある。
その時――
「待て、何をしている!」遠くから威圧的な声が響いた。ルーカスが振り返ると、ナチスの高官と思われる人物が兵士たちを率いてこちらに向かってきていた。彼の鋭い視線が場の空気を一変させ、兵士たちは再び緊張した表情に戻った。
「裏切り者どもめ!」高官は憤怒の表情で叫び、銃を構えた。「命令を無視する者は全員処刑だ!」
一瞬の静寂の後、再び銃声が響き渡る。高官が銃を撃った瞬間、周囲の兵士たちも引き金を引き始め、混乱が広がった。ルーカスは素早くアナの腕を引き、ヨハンと共にその場を離れた。彼らは物陰に身を潜め、次の動きを考える。
「まずい…再び戦いが始まった。」ルーカスは冷静に状況を分析しながら、逃げ道を探す。しかし、追手はますます増えており、どこに逃げてもすぐに捕まる危険があった。
「どうする?」アナが問いかけた。彼女の顔には焦りが浮かんでいるが、ルーカスは冷静さを保っていた。
「今は無理に戦うべきじゃない。まずは状況を見極めて、次の一手を考えよう。今は隠れて、様子を伺うんだ。」
彼らは再び隠れながら、戦闘の状況を見守った。混乱が広がる中、銃を下ろした兵士たちも、再び命令に従おうとする者や、ルーカスたちに協力したいと考える者たちが入り乱れている。しかし、どちらの道を選ぶにしても、彼らの運命は決して楽ではないだろう。
読者様向け説明メッセージ
ルーカスたちは一度は兵士たちを説得し、戦闘を回避することに成功しましたが、ナチスの高官の登場により再び混乱が広がり、戦闘が再開されました。彼らがどのようにこの状況を乗り切るのか、また協力者を増やすためにはどのような手段を取るべきか、次の一手が重要です。
あなたの選択が、この物語の次の展開を決定します。彼らが取るべき次の行動を、あなたが決めてください。
選択メッセージ依頼
「ルーカスたちはどう行動すべきか?」
1. 隠れ続けて、状況を見守る- 無理に戦うことはせず、兵士たちの動きを観察し、状況が落ち着くまで隠れ続ける。
2. 協力者と共に、高官に立ち向かう- 銃を下ろした兵士たちと共に立ち上がり、ナチスの高官に立ち向かうために戦う。
ルーカスたちの運命を決めるのは、今夜20時まで。あなたの選択が彼らの未来を切り開く。
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