第41話:役に立たなかったカップラーメン。

「そうだ・・・ところでロゼあなたカップ麺食べます?」


「かっぷ・・・ら〜めん?」


「ロゼ、お腹空いてません?」


「そう言われてみれば空いてるかもかも・・・」


「カップラーメン作りますから食べます?」


「ワインさんそれは私におまかへを・・・」


そう言ってベンジャミンはカップ麺を作る支度をしはじめた。


パンはロゼにもカップ麺を食べさせてその美味さに驚いたところで、

それを餌にレブレスみたいに異世界へ返そうと目論んだ。


早速、できあがったカップ麺を持ってベンジャミンが現れた。


「なんだこれ?」


「カップ麺って食べ物です」

「美味しいですよ、食べてみてください」


「いい匂いだな・・・」

「どうケントが帰ってくるまで暇だし・・・」


そう言ってロゼはカップ麺を食べた。

食べたけど、パンが期待したほどたいして劇的反応はなかった。

美味いとも不味いとも言わないまま全部食べてしまった。


「はい、ごちそうさん」


しばらくの沈黙・・・。


「あの、美味しくなかったですか?」


「まあ、まずくはなかったけど普通だな」


「おかしいですね、みなさんそれを食べると絶賛するんですけど」


「食べ物の好みなんか、みんな違うっしょ」


「ロゼさんにはカップ麺はそんなに劇的に美味しくは感じなかったようれふね」


そのようだった。

パンの目論見はもろくも崩れ去った。


「この人、味覚がおかしいんですよ」


「たしかに、すべてが満足ってわけにはいかないようれふね」


「あのさ、ケントっていつ帰ってくんの?」

「私、待たされるの嫌いなんだよね」


「曽我部っちはしばらく帰ってきませんよ」

「諦めて帰ったらどうですか?」


「せっかく来たしね、目的果たさないと私が怒られるからね」

「腹も太ったし、ケントが帰ってくるまで少し眠らせてもらおうかな」


そう言うとロゼは勝手にベッドに横になって寝てしまった。


「ベンジャミン、どうしましょう」


「カップ麺も効きましぇんしロゼさんのフェロモンはパンさんのより強烈

れふからね・・・危ないれふよね」

「すでに私の下半身がロゼさんのフェロモンに反応してまふひ・・・」

「あらがえないかもれふね・・・強烈すぎて・・・」


「健斗さんも、それなりにスケベな人ですから、ロゼさんを見たらたちまち

取り込まれてしまいそうれふね」


「そんなんじゃ意味ないでしょう」

「この子が寝てる間にこの間のレブレスみたいにベンジャミンの持ってる杖で

ゴツンって・・・」


「あいや〜女性は殴れないれふよ」


「こんな時になに聖人ぶってるんです、相手は曽我部っちを取り殺そうって

女ですよ」

「ロゼを曽我部っちに会わせないようにしないと・・・」


「健斗さんが帰って来ないよう私がこの状況をお伝えに行って来まひょうか?」


「そうね・・・でもどっちみち曽我部っち、ここに帰って来ないってわけには

いきませんからね」


「ま、それはそうれすけど・・・」

「ワテとしては、いきなり帰ってきてこの状況ではショックが大きいかと

思いまひて・・・」


「曽我部っちの貞操観念が問われる時ですね」

「曽我部っちがロゼに取り込まれるようなら私も覚悟を決めないと・・・」


「健斗さん、次第ということれしょうかね・・・」


「けろ、健斗さん女性アレルギーでひょ・・・セックスできるのはパンさん

だけふから・・・心配ないんじゃないれふか?」


「そうですよね」


「いや・・・どうだかスケベ心のほうがアレルギーをも克服してしまうかもれふ」


「なんでそういうこと言うんですか・・・」

「ああ、どうなっちゃうんでしょ」

「曽我部っちの女性アレルギーだけが頼みの綱ですね・・・」

「こんなことなら、もっといっぱいセックスしとけばよかったです」


「え?今以上に?」

「そんなこと言ってたら朝から晩までやりっぱなしですけ・・・体力底なしれふね

パンさん・・・なんてうらやましい」

「しかも健斗さんの心配よりセックスの心配?」

「これから首が飛ぼうって時にヒゲの心配をしてどうすんれふか?」


「なにそれ?意味わかんないんですけど・・・」


「遠い昔のたとえれふ」

(どっちにしても健斗さんはロゼにやられなくてもいずれパンさんにやり

殺されことになるのかも・・・女は怖い・・・)


「健斗さんがつくづくお気の毒・・・」


つづく。



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