月の雫
心が果てしなくなり、浮遊する夜。月は銀色に輝き、光を滴らせるのでカクテルグラスでその雫を受け取る。
ひと息で月の雫を飲み干せば、果てしない心に小川のような流れができる。わたしはその流れを追いかける。ああ、この小川は天の川に向かっているのだな、と気づく。ごうごうと星の流れる音が聞こえてくる。ううん、星は瞬くばかりで流れているわけではない。流れているのは時間だ。時間が光のように見えている。少し心が騒ぐ。こんなに勢いよく時間が流れるのならば、わたしはあっという間に老いてしまうのではないだろうか。
星は沈黙したまま、ただ瞬いている。
わたしは時の流れに手を浸してみる。心が果てしない夜だから、時間もまた、果てしなくなったりしないだろうか。時はわたしの指の間をすり抜けてゆく。
与えられているのは今しかないと月が囁く。
酔うためにカクテルグラスを掲げる。
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