第281話 久々のギルド
昼食を食べてから、午後はギルドに納品をしに行きました。
昨日の時点で私たちが帰ってきたことは周知されていたのか、ギルドに入ると訓練場でハチ君たちが待ってるとタキさんから言われました。
「そしたら納品は儂がしておくから、ヴィオは訓練しに行くか?」
時間があればと思って、運動しやすい格好に着替えてはいる。ハチ君たちと再会するのも久しぶりだし、会議室で材料だけマジックバッグから取り出したら訓練場に行くことにしました。
「じゃあ、カードとタグは預かっておくね、ハチもヴィオちゃんに会うのを楽しみにしてたから喜ぶよ」
「ふふっ、私も楽しみ、お父さんお任せしてごめんね。行ってきま~す」
2人に見送られて地階へ。
この階段を1人では下りれなかった時が懐かしい。身長も伸びたから上るのもそんなに大変じゃなくなった。
「こんにちは~」
「あ~、ヴィオだ」
「え? あ、ほんとだ、ヴィオお帰り」
「え? ああ、あの子」
訓練場の扉を開ければ、ハチ君だけじゃなく、数人が好き好きに訓練をしている。アスレチックも健在で、そこで学び舎年齢ではなさそうなちびっ子達がヨジヨジしている。
レン君とハチ君が尻尾ブンブンで駆け寄ってくれたんだけど、ハチ君が『びお』じゃなくて『ヴィオ』と呼べるようになっていることに成長を感じて感動してしまう。
「昨日帰ってきたって聞いて、今日ギルドに納品しに来るって聞いたから、訓練しに来ると思って待ってたんだ」
「うん、ぼくもね、ヴィオが帰ってきたら、いっぱい練習して強くなったのを見てもらおって思ってたの」
ヤベエ可愛い。身長が伸びて、舌っ足らずだった喋りも大分流暢になってきてるけど、相変わらず可愛いが爆発してます。
ちなみにアスレチックコーナーは水溜りや高すぎる壁はないもので、ちびっ子たちが遊べるプレイゾーンとして平日の午後だけ解放されているようです。週末は銀ランク以下の冒険者たちが訓練しに来ることもあって危険だからだろうね。
「あ~~~、びおだ!!!」
ハチ君たちとくじ引きをして手合わせの順番を決めていたら、入口付近から大きな声が聞こえた。振り返ったら凄い勢いで走ってくる小虎が。
ダッダッダッダ ピョ~~~~ン!!!
勢いよく走る為に獣化した小虎は、そのままハイジャンプで飛び込んできた。強化しといてよかった~。
両手を広げて受け止めれば、そのまま頭でスリスリしてきてペロペロ舐められる。待って待って、ザラザラの舌だから痛いんす。
両腕の下に手を入れて持ち上げれば、尻尾ブンブンで喜びを最大限に表してくれる。
「ヴィオちゃんごめんね~、ココア、ここじゃ人化してないと遊べないって言ったでしょ?」
甚兵衛片手に追いかけてきたのはココアちゃんのお母さんのノアさんです。尻尾がヘンニョリしたココアちゃんを下ろせば、ノアさんが大人しくなった小虎に甚兵衛を着せていく。
ああ、ヒトから獣になるところはよく見るけど、逆は初めてだね。小虎の甚兵衛姿も中々キュートですよ。
しばらく見つめていたら小虎の体毛が薄くなっていき、大きさも少し小さくというか細くなっていくように見える。手足の体毛は減っていくけど 髪の毛にそれが集約されるのか、虎の時より長いフワフワした髪になった。蹲った状態だったので、人型になったら、叱られて泣いている子にも見える。
キラキラ光るとか、ボフンと白い煙が包み込むとかを想像してたけど、意外と静かに変身するようです。
「人化する方は集中しないと難しいからな。チビの時はああして他を見ないようにしてやるんだぞ」
隣でレン君が解説してくれました。おお、蹲りスタイルは叱られたからとかじゃないんですね。
完全に変態が終わったようでムクリと起き上がった小虎、じゃなくてココアちゃんが両手をあげて抱っこのおねだり。可愛いが過ぎる。
「ココアちゃん久しぶりだね」
「うん、びお 会いたかった」
グリグリされるのがたまらん。
しばらくイチャイチャした後、アスレチックコースで遊ぶというココアちゃんと別れて、レン君との組手を行う為 広い場所に移動した。
「俺すっげぇ頑張ってるから、前みたいにすぐやられね~からな」
「うん、私も凄く頑張ってきたから負けないよ」
「お~し、やるぞ。無理な時は降参しろよ。――はじめ!」
訓練場に大人以外の使用者が居る時は、先生たちの誰かが監督役でいてくれる。これも当り前のことじゃないけど有難いよね。
レン君はネコ科の素早さを活かして駆け寄ってくるけど、私も力がない分素早さ特化で訓練してるからね。
私の背後を取ろうとして腕を振りかぶってくるけど、左腕を盾にして弾き飛ばして右足で蹴り上げる。当たりはしたけど、蹴りに合わせて後ろに飛んだから大したダメージにはなってない筈。
着地したところですぐに屈伸するような動きでこちらに飛び込んでくるレン君は、真直ぐなので避けやすい。避けながらレン君の背中に掌底を打ち込めばそのまま地面に滑り込む。
「ぐえぇぇ、痛ってぇ」
「降参?」
「まだまだ!」
泥だらけのお腹を手で払いながら立ち上がる。
今度は足を狙って飛び込んでくるけど、身長差があまりない私たちだと低い場所からの攻撃という利点は活かせない。
飛び込んで来ては打ち落とし、殴りに来ては打ち払い、蹴りに来れば避けて反対側から蹴り飛ばす。
何度土まみれになろうとも向かってくるし、その度にキラキラした目になっていくレン君。ドエム開花してません? なんで嬉しそうなの?
降参が無い場合でも時間制限があるので(獣人は体力があるからやめないのでね)終了となった。
「たは~~、前より強くなったはずなのに、全然当たらね~。ヴィオ、すっげえな」
「ダンジョンで 色んな敵と戦って鍛えてきたからね」
あとは、ドゥーア先生のところで騎士さん達との訓練が出来たのも大きいかな。対人戦はやっぱり人相手にしないと上達しないもんね。
「おお、本当に強くなってるぞ。前は避けることをメインでやってたが、今回は避けながら攻撃を入れてたな。ちゃんと相手をよく見てるし成長してる」
エデル先生からも頭を撫でながら褒められる。本当に? それは非常に嬉しいですよ。
周りが強すぎる人が多いと自分の成長がよく分からないんだよね。
お父さんは私のレベルに合わせて 少しずつ調整してくれているから いつまでたっても攻撃が当たらないし。
だけど久しぶりに会う先生たちにそう言ってもらえると自信につながります。
この後少しの休憩を挟み、ハチ君とも対戦、その後見ていた別の子供達からもお誘いを頂いたんだけど、ココアちゃんが遊びたいと、ハチ君との対戦前から待っていたのでそちらを優先させてもらった。
まだしばらくは 村に滞在する予定だし、また一緒にやりましょう。
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