第11話

《アリア視点》

アリアは今『神羅の森』の最下層にいる。


細い通路の先に二体のサラマンダーがひょっこり顔をのぞかせている。


次の瞬間、サラマンダーがファイアードレイクを召喚した。


するとアリアはすぐにファイアードレイクを討伐する。


「コレで必要個数まであと200個!」


今集めているのは、最下層から深層へ移動するための鍵を作るための素材である。


鍵をつくために必要な個数は2000個。


常人だと、ここまでで諦める。


だが、アリアは常人では、普通のエルフではない。あのアリアだ、そう簡単に諦めない。


だが、めんどくさいことにファイアードレイクは自然ポップしない。


サラマンダーが召喚することによってでしかポップしない。


だからアリアはサラマンダーを魔法によって拘束し、ファイアードレイクを召喚させているのだ。


必要個数が100個になったとき、地面から蜘蛛の脚?みたいなのが生えてきた。


脚が喋る。


「何年ぶりか、やっとシャバの空気が吸えるくらいにまで封印が弱くなった。そして、そこのエルフ、お主は―――惑星のところか?」


「なんでそのことを⋯」


「私はかつて、その惑星のやつに封印されたからだ」


「なるほど、で、その人は?」


「お前のおじいちゃんだ」


その事実にアリアは驚いた。


「なっ、なんでわかったの?」


「なんでって魔力の質を見れば余裕じゃないか、何を今更?」


「そうなんだ、へえ」


「なんだその興味のなさそうな返事は!まあいい、いずれ再会するだろう、その時までにせいぜい強くなっておくといい」


「うるさい!『神幻・混合魔法・炎雷・楓火』」


     ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアア


蜘蛛の脚のような奴の断末魔はダンジョン全体を揺らした。


______________________________________

《―――視点》

小童め、私の脚を破壊しおって、許せん!


だが、このような小さきことで腹を立てていたら私まで下等種族になってしまう。


どうしよう。小童の魔力は少なくとも私と同じ。


その中で私が優れているものといえば経験としもべだろう。


よし、天狗に頼んでどうにかしてもらおう。


第一に問題は解決した。


一番の問題は次だよ、次。


なんで、小童は私より魔法の威力が高いんだよぉぉぉぉ!


そんな事があってはならない!


どうやって魔法の威力を高めよう?


あ、そうだ、日本だけにしかなく、京都と富士山に集中している魔脈を使おう。


使えば使うほど地球の魔力は荒れるし、破壊も進む。


これぞ、一石二鳥!


でも、私の地下拠点も壊れてしまう。


あ、そうだ、ずっと貯めてた魔力を使おう。


ある時から入り切らなくなって圧縮しだしたのがきっかけだったな。


小童の前に出現するときに使ったら思った以上にとどまれたからな。


威力が上がるのは確定か。


でも待てよ?


相手はあの呪われ子だぞ?


転生特典は持っていてもおかしくはない。


もし、その中に魔力が無限になる転生特典があったら?


ダメージ無効があったら?


状態異常も効かなかったら?


その時は諦めるか?


いや、なんのために準備をしてきた。


絶対に勝てるはず。


そうだ、完璧な生物など私以外にいるはずがない。


魔力なんて無限にはならないし、ダメージなんて無効化できない。


状態異常も効くし、私は倒されない。


私だけが完全無敵の生物だ。


ちょっと疲れたな。封印区域が地中ってだけだから私の秘密基地に行こう。


ズズズっ、コーヒーは癒されるな。


さて、やらなければいけないことも終わったし、最近の人間が発見した数学の問題でも解くか。


いや、まて、本を読むか?


いや、物理の問題を解くか?


選択肢が多すぎるな⋯


私は時間が無限だからゆっくり解いていけばいいじゃないか。


読書はトイレに行ってる間にでも読もう。


というか、面白いな。


人類に危害を加えず、地中から出なければ自由にしていい。


しかも地下室でトイレとお風呂付き。


広さは1000平米くらい。


電波も飛んでくるし、テレビも付いている。


私は食べ物がいらない。


でも、時々嗜好品が欲しくなる。


まぁ、毎日飲んでもあと500年分くらいあるし、余裕!


じゃあ寝るか。


おやすみなさい。―――。











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