49.こんな日もあるさ

 ========== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 =========================

 笠置・・・夏目リサーチ社員。元学者。元経営者。分室リーダー。

 高山・・・夏目リサーチ社員。元木工職人。Web小説ライターでもある。

 榊・・・夏目リサーチ社員。元エンパイヤステーキホテルのレストランのシェフ。元自衛隊員。分室のまかない担当?

 夏目優香・・・夏目リサーチ社長。夏目の妻。


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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==


 ※夏目リサーチは、阿倍野元総理が現役時代に設立された会社で、警視庁テロ対策室準備室が出来る前に出来た。スーパーや百貨店の市場調査会社が、「隠密に」テロ組織を調査するのに適していると、副総監が判断し、公安のアシストとしてスタートした。

 夏目リサーチは、民間の市場調査を行うのと併行して、危機的状況を調査する、国家唯一の調査機関である。


 午後11時。浅草、浅草寺裏手のビル。夏目リサーチ社分室。

 笠置が、いつになく苛立っていた。

 高山が、オロオロして見ている。

 警視庁から送られて来たデータは、ガチャガチャデータとも他のデータとも一致しない。

 画面には、『アンマッチです』というメッセージボックスが出ている。

「きっと、何か足りないんだよ。後で追加のデータでも来ればやり直せるんじゃない?」

 溜息をついて、笠置は高山に頷いた。

 ここにいる3人は、ただの高齢者じゃない。

 色んな経験をして来た『猛者』なのだ。

「じゃ、そうと決まったら、夜食にしましょう。高山さん、手伝って。」

「はいよ。」高山と笠置は、榊の気遣いに感謝した。

「今日は、牛肉入りとろろ卵焼き、金目鯛のポワレ、チキンの赤ワイン煮、おまけにスティックドーナツ。そして、サツマイモご飯。最近ね、スーパーの惣菜コーナーでも置いているんですよ。混ぜご飯と言えば赤飯やかやくご飯が定番だけどね。」

「成程。全部視点が違うなあ。案外、高山さんの言う通り、何か足りないのかも知れない。」

 そこに、社長の優香が現れた。

「一息ついたとこ?」

「社長。アンマッチでした。済みません。」と笠置が頭を下げた。

「笠置さんの、そういうとこ好き。ねえ、不倫しない?高山さんも榊さんも黙ってて。業務命令よ。」

「命令じゃあ、仕方ないねえ、榊さん。」

「私は社長に逆らったことありませんよ。」

「悪乗りしすぎ、ワインで酔ったの?」

 その時、警視庁の矢野警部からメールが届いた。

 笠置は、急いで、添付ファイルを開いた。写真が添えられていたのだ。


『今朝、お送りした案件の写真は従業員の目撃した不審人物のモンタージュでしたが、新たに、別件で逮捕した雑誌記者のカメラに収まっていた不審人物の写真を送ります。照合をお願いします。』

「どういうことです?」と尋ねる榊に、笠置がざっと説明した。

「墨田区江東橋の風俗店で、『店の冷蔵庫を掃除していたら子どもの頭のようなものを見つけた』と男性従業員から110番通報があったんです。それで、男性従業員が前日に目撃した不審人物のモンタージュを作ったんですが、どうも男性従業員の記憶が曖昧で、被疑者ではないのでは?と疑われ、ガチャガチャデータと照合したのが、さっきのアンマッチの結果。」


 15分程で、新しい結果が出た。雑誌記者が撮影した写真は、埼玉県のネットカフェに出入りしていた、通称ケノ・ホイこと如何見良と判明した。全国のネットカフェには、例え偽造の運転免許証であろうと、お名前カードであろうと、会員登録データは警視庁に送るように通達されている。これは、マスコミには報されていない。久保田管理官の判断である。

 笠置は、急いで警視庁に結果を報告した。

「祝杯よ。榊さん、お土産に持って来たワインも開けて。それと、私の部屋、用意して。」

 社長の優香は機嫌がいいと、トコトン飲んで宿泊していく。

「うぃ。まだぁむ。」

 榊は用意にかかった。


 追加データが無ければ、今日は成果なしの夜だったが、結果オーライだ。


 ―完―




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