第34話

まさか、周囲の者たちにも分かられてしまっているのだろうか。


「もしかして、他にも知っている人間がいるのか?」


飛鳥が問うと、蘭は首を横に振る。


「分からないけど。俺は、あなたが好きだから気付いただけ」


「そ、そうか……」


飛鳥は正直ホッとした。


もし二人の仲を藤堂に知られたら、どうなるか分からない。


そして飛鳥は、蘭ですら藤堂に密告しかねないと思い至る。


飛鳥に想いを寄せている彼が、そんなことをするはずはないが……。


「大丈夫、俺は誰にも言ったりしないから」


蘭は、飛鳥の胸中を察したかのように少し笑った。


「う、うん……。ありがとう」


「まぁ、俺の想いが届かないのは残念だけど、飛鳥さんには幸せになって欲しいし」


蘭の想いを知り、飛鳥の胸は少し苦しくなる。


「ごめん……」


「何でごめん?別に謝んないでよ」


「お前の気持ちは嬉しいけど……応えられないから……」


飛鳥がそう言うと、蘭はぷっと笑った。


「気にしないでよ。ただ、俺の気持ち知っておいてほしかっただけだよ」


「蘭……」


「いいんだって。俺は、あなたたちの邪魔はしない。辛くないわけではないけど、近くにいられるだけでいいから」


そう言って微笑む蘭の表情は寂しそうだった。


すると、背後から声をかけられる。

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