第19話 素人でもできるさ

幽香は白衣からワイヤーガンを出しコックピットに向かって発射した。操縦席に入り私の目の前にある電話がなる。


「聞こえる?葵ちゃん」

「なんでそこにいるかは後にして機長たちは無事?」

「意識はあるが肩を撃たれてね、操縦桿は彼らの指示の元千理君がやっているよ。」

「幽香。君のヘッドセットをキャプテンに渡してほしい」

「聞こえますか?」

「あ、あぁ。」

「今は何よりも手短に聞きたい事だけに答えてください。現在の燃料、高度、進行方向は分かりますか?」

「高度は5000フィート、燃料は残り50%。進行方向は安定しているが、オーパイが使えない!」

「管制塔はオーパイが使えない事を含め今の状況は知っていますか?」

「それは伝えてない…」

「まずは伝えるのが先です!」

「辞めてくれ!そんな事をすれば我々のクビが飛ぶ!それだけじゃない家族にまで危害が行く」


私は腸が煮えくり返る。何を言っているんだこの男はそれが言葉になりそうになったら千里の声が響いた


「はぁ!!!クビ!?そんなこと、今考えてる場合ですか?今、私の手の中には、たくさんの命がかかってるんです。私だって、こんなこと初めてで怖いけど、皆を助けなきゃいけない。クビになるかどうかなんて、後でどうにでもなるでしょ?命を守ることが、今一番大事なんじゃないんですか?」

「だ、だが」

「だってもクソもヘチマもありません!!クビになる?上等じゃないですか!命を守る事でクビになるのなら大いに結構!!不当解雇だの名誉毀損だの!でできる事で会社から金をふんだくってやればいいんですよ!!自己保身を考える暇なんて今の私達にはないんですよ!!!」


私は機体が揺れていない事によって、冷静になりつつも機長に喝を入れる千理のこころの強さを確信した


「千理の言う通りです。最優先にしないといけないのはこの飛行機を安全に着陸させ生存者に怪我をさせない事です」

「だが、」

「ではこうしよう。1000万。1000万で私達は無事に着陸させましょう。」


無音が流れ決断を私は迫った


「返事は!!!」

「た…頼んだ」

「いい返事だ。幽香?私をコックピットへ運んで。幽香は機長達の手当、貸物室へ行き生存者の確認を。千理はそのまま待っててねすぐ行くから!」

「こんな時にまで金を持ち出すとは葵君らしいね」

「グズグズしない」


機長は私に問う。


「できるのか?この鉄の鳥を返す事が君たちに?」

「素人にもできる。千理。一旦きるね!」


私は受話器を戻した

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