第25話「言葉の景色に乗せて愛を届けに」


時は1000年前

太陽暦1200年

ここには一人、アダムがいました。


「白瀬、」

「なんですか先生」

「なぜ、太陽は赤いのだ」

「そんなの燃えてるからです」

「では、なぜ私も赤いのだ」

「それは、もう、知りません、」

「なんだと、君でも知らないのことがあるのか」

「そうですし、それ以上いうのは、ダメですからね」

「何故だね、」

「ほんともー、乙女の事情を知ってください、」

「そうか、乙女の事情だったのだね」

「いえ、もういいです、ともかく、私の前で絶対にそんなあからさまな顔しないでくださいね」

「何故だね、これも乙女の、?じじょうか、」

「はいストップ、それも禁句です」

「そうか、白瀬、しかし困ったものだね、私は今、居ても立っても居られないのだが」

「そういう時は、じっとして、我慢して、堪えて、とにかく、女の子の前では男である自覚を持ってください」

「そんなのいつだって私は男だ、みればわかるだろ」

「そうですけど、あなたも男だってことをわかってください」

「何を当たり前のことを言っている、そんなの誤解するわけ無いだろ、無用な心配をするんだなお前さんは」

「はい、もう、いいですから、とにかく、デート行きますよ」

「なんだそれは」

「約束したじゃないですか、二人で太陽まで行こうって」

「あーそれをデートと言うんだね、」

「そうです、この間、確か太陽暦1200年に言いましたよね?」

「またまた、神でもあるまいし、そんな大雑把な単位で何を言ってるんだ」

「あーせんせ、あなた、アダムだって自覚ないでしょ」

「なんだそれは、私は神の落とし子だぞ、人なんだ」

「そうですね、それもアダムって言うんです、全くね〜。先生らしいですね」

「それとその先生っていうのはなんだね」

「先生というのも、神の叡智です」

「なるほど、知性のことか」

「そうですけど、先生、ってどこで勉強したんですかね〜」

「そんなの、学校だぞ、それも早乙女ハイスクールっていう。一流学校でな」

「あなたって、アダムですよね?」

「なんだ白瀬、知らんのか、私は男ではあるが、女とも言えない、やつだ」

「なんですかその錯綜とした懐句は、」

「簡単な思考実験だよ、そうであるがそうでもない、ってことだ」

「なんか、疲れるのでそういうのやめてください」

「それでもいいが、それではダメだろ?会話的に?」

「はい先生、とにかく、私で遊ばないでください、デートしてください、もっとわかること言ってください」

「では、今日はとくといい日にしような白瀬、」

「はい、とんといい日にしましょうね、先生、なんて、も〜」

「なんだ、普通すぎたか?」

「いえ、とくといいが、とてもいいみたいに、言ったんですよね」

「そうだぞ、言葉をあやかった、サルベージュ、モティファだ、」

「はいはい、英国紳士万歳でーす、大体先生はそうやって知性だけを見せて、自分を広く見せてるつもりですか」

「知性とは、最も原始的な発育だよ、だからね、使わずるして、なんとするか」

「はいはい、お見事でーす。そういう先生が、私は好きですけどね」

「好きとはなんだ?」

「先生、あなたは発案を出せても、その会議に出席できないタイプですよね」

「なんだね、意味がわからん」

「だから、場違いことを言ってしまうから、その場に求められないタイプですよね」

「なるほど、いうようになったな、お前さんも、だがね、この場には居たいな」

「そうですか、そういうところは好きです」

「好きにも箇所があるんだな」

「そうですね、」

「では全てを愛すにはどうすればいい」

「全てを知って、それから一つ一つ紐広げて、解いていくんです、そしたらきっと愛してるが言えて、結婚までいけますよ」

「愛してるか、なんだね、今言っても、差し障りないのだね?」

「いえ、ダメです、先生は、すっとんキョーなすっ飛ばす系なので、ちゃーんと理解しないとダメです」

「なるほど、理解しなければ、いけないのか」

「いいえ、理解しあいえないとダメです、それも全てですよ?」

「なるほど、理解し合う、それが愛してるか」

「そうですね、ありていに言えばですけどね、でも私もまだ愛を愛してるだけの、夢想家風情ですが」

「なかなか粋な一句だね、しかし白瀬、君が愛を知りたいというのは、それは、誰かが好きだからだろ」

「はーい、ストップー。せんせ、あなたね〜、男って自覚ありますよね?」

「なんだやぶから棒に、男だから言ってるんだよ」

「あーせんせ、もしや一周まわった頭で言ってます、私のこと転がそうとしてます」

「なんだね、全く、私が男だと、お前が愛を理解できるとでも言ってるのか、」

「もういいですよ、そんなに告白されたいですか、てか愛してるって言わせたいんですか」

「言ってもいいが、まだ互いに理解できてないんだろ?」

「いえ、先生はわかってるのでしょうが、それを私が認めると、私がわかってしまうことになるんです」

「何を言ってる、あるものないものを、ここにあると言えば、二人には映るだろ?」

「今、愛みえました?ここに?」

「私は感じたが、お前は見えてるのか?」

「いえ、見えるものではないですから、感じるものですよね」

「そうだ、だから、私は鼓動が、あわただしくて、多分赤色なんだと思ってるよ」

「ちょっと待ってください、もしかして、私の顔も今、赤いんですか」

「ああ、そう見えるが」

「あ、先生も、、(赤い」

「これって愛か?」

「そうですね、多分愛です」

「多分か、なんだまだ理解に欠けるみたいだな」

「いえ、せんせ、好きです」

「あー好きか、愛してるじゃないんだな」

「言っときますよ、せんせ、愛してるは、究極系ですから」

「なんだ、では、まだ究極ではないのか」

「そうですね、せんせ、しかし、とにかくここはまだ山場ではないですからね」

「そうかデートはここまでか、」

「はい、、、」

「なんだ、赤いだけではダメだったか」

「もう見えないで」

「いいじゃないか、まだ山場じゃないんだろ、この先に何がある?」

「もーずるーい、せんせ、いいですか、女心は、言葉で理解しないでください」

「なるほど、では、心を出せばいいんだな」

「そんなもの出せませんよね?」

「心が見える時は、そりゃ、考える時だからな、そうだなー、わからんなまだ」

「そうですか、でも私も心は見えないから、言うしかないなんて思ってます」

「なるほど、矛盾してるな、でも、それでも君は、確かに、心を形にしようとしたんだな」

「はい、」

「それなら、心だっていつかは見えてくるかもしれない、そして、心がわかったら、また話しかけるよ」

「そうですね、その瞬間に心は動くものですよね」

「そうだね、答え一つで、次の心が見えて、その心も形にできたら、全てを愛せるのかもしれない、でも見えない心も、形にできない心もあるから、それをどうするかは、またデートをしながらが言い合おう、白瀬」

「はい、先生、」


太陽暦1200年

ここはまだ二人の始まりのアダムとイブの世界。

あなたは何故、愛を形に、言葉を形に、心を形に、したのですか?

それは思いが見えるただ一つの、人の景色です。あなたはこの言葉の景色に何を思い、

次に何を記すのですか?


それをいつか見せてください。

そしたらきっと、また遠い未来で、あなたが生まれても思い出せます。


だからここにこんな1200年前を始めます。

見えていますか、光の中の速度で見えた世界が。

あなたにまた映りましたか?


いいえ。


届きましたか。


それでは、また全てを知るまでの旅をしましょう。

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