第8話お隣さん

今の私がいるのは、大部屋の一般病棟です


私は大部屋がキライじゃないです


人の気配がしていて、どこか安心していられる


夕べも、お隣さんが看護師さんと話しこんでいるのが聞こえてきました


ひそひそと心地よいトーンのお話


カーテンで仕切られた隣のベッドで、お隣さんの家庭事情に精通していく私


それは別にどうでもいいんですけども




はっ、と気づいたんです


看護師さんは、これをお仕事の一環としてやっておられるんだ、と



ただの世間話に聞こえてたけど


お隣さんは、痛いつらい状態でさらにつらい治療に耐えてるみたいでした


時々、聞こえてくるのは、うめき声やため息


ずっとつらそうだった


でも、イキイキと家族の愚痴なんかを話すお隣さんは、楽しそうでした


看護師さんは、そういうこと、察してたんだなあ


その証拠に、看護師さんが立ち去ったあと


漏れ聞こえてきたのは、ふふっていう思い出し笑いでした


よかったね、お隣さん


ふふっ

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