第25話

《雄一side》


先週はまるで新婚当初に戻ったように妻と体を重ねた。


今夜は早く帰れる。


妻を愛している訳ではないが、帰るのが楽しみだ。

雄太も俺に懐いている。今が一番かわいい時期なのかもしれないなと思った。


いつものように玄関を開けると、部屋の電気が消えていた。

今から帰るとラインしておいたのに、もう寝てしまったのだろうか。


雄太は俺が帰ると玄関まで走ってきて「おかえり」と言ってくれる。

息子が先に寝てしまっているのは少し寂しい。


二人を起こさないように、できるだけ静かにリビングに入ると、テーブルの上に紙が置いてあるのが見えた。

なんだと思って手に取る。

離婚届……


なんだって?


なんでだ?


弁護士事務所の名刺と封筒。

いったいどういう事だ。


美鈴に電話をかけるが繋がらない。メッセージも送るが既読にならない。

部屋を見てみると、美鈴と雄太の物がすべてなくなっている。


離婚?まさか……先日妻を抱いたばかりだ。

そんな事あり得ない。


カウンターの上に美鈴のスマホが置いてあった。

電話しても無駄だという事か?


いやそんなはずはない。妻は俺を愛している。

それに、あいつは収入がない。仕事を辞めて3年だ、パートをしていると言っていたが100万程度の稼ぎでは生活できないだろう。

引っ越しか?や、賃貸でも初期費用がかかる。親しくしている友人もいないし、頼れる親族はもういない。


いったいどこへ行った。


戻ってくるだろう。

そもそも離婚なんて何故だ?まさか愛梨のことを知っているのか……

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