告白後に……
「い、言っちゃったぁぁぁぁぁぁぁ」
そして全てを無視してベッドにダイブをして今に至る。
「やばいよ、今になって恥ずかしくなってきた」
告白した時は色んな感情がごちゃ混ぜになっていてそれどころではなかったけど、冷静になった今はとにかく顔が熱い。
「いきなりすぎたかな? でも、のんびりしてたら手遅れになるもんね」
告白を今日した理由は特にない。
私としてはずっと悠夜さんと恋人になりたかったからタイミングだけだった。
ならなんで今日にしたのか。
まあ一番の理由は悠夜さんに送ってもらえる日だったからだけど、噂を聞いてしまったのが大きいかもしれない。
悠夜さんに好きな人がいると。
「さっきの反応からデマだったんだろうけど、火のないところに煙は立たないって言うし。それに悠夜さんのことを好きな人は絶対にいるだろうから、早いに越したことはないよね」
悠夜さんは絶対に認めないだろうけど、悠夜さんを好きな人は絶対にいる。
何人かは目星がついていて、その人が悠夜さんに仕事以外の理由で近づこうとするのを私はさりげなく邪魔していた。
だから私はバイト先で女子人気が悪い。
私としては悠夜さんにしか興味はないんだけど、多分他の男の人にも色目を使っていると思われている。
でも、悠夜さんと付き合うことができたらそういうのが全部解決するはずだ。
「んー、でも悠夜さんのことが好きな人達からは恨まれちゃうかな。まあ恨まれたからって諦めたりしないけど」
私が何の為にバイトを始めたのか。
確かに元々バイトはする予定だったけど、バイト先をあそこに決めたのは不純な理由がある。
「よーし、頑張って悠夜さんに好かれてやるぞー」
告白した感触的には悠夜さんも私のことを好いてくれていると思う。
それが恋愛感情なのかは置いておくとして、後は私が頑張って悠夜さんにどうやって私を本気で好きにさせるかだ。
「えへへ、悠夜さんも私のこと好きかもなんて嬉しいー」
なんだかずっと頬が緩んでしまう。
明日までには緩んだ頬を直しておかなくては。
「あ、大変。嬉しすぎて悠夜さんにちゃんと帰れましたって送るの忘れてた」
悠夜さんに送ってもらった後には「無事に家に着きました」などのメッセージを送るようにしている。
最初は嬉しくてそれどころではなくて、私がベッドでジタバタしていたら、悠夜さんから「ちゃんと帰れた?」「大丈夫?」と、すごい心配させてしまった。
悠夜さんから連絡がきたのはすっごい嬉しかったけど、心配させてしまったことに罪悪感が芽生えた。
だからそれからは私の方から家に着いたことを知らせるようにしている。
「そういえば連絡先登録するのも色々あったなぁ」
私がバイトを初めてすぐの頃、バイト先の人達で連絡を取り合うようのグループに入れてもらった。
そしてそこにはもちろん悠夜さんもいて、その頃は話しかけることが難しかったから、何を血迷ったのか私は勝手に悠夜さんの連絡先を追加していた。
追加してしまったからには消すわけにもいかないし、それならいっそメッセージを送ってみようかとも思ったけど、なんて書けばいいのかわからなくなって放置になってしまった。
そのまま数日が経って、悠夜さんと何回か一緒にお仕事をすることがあったけど、特に悠夜さんから何か言われることもなく、とりあえずそのままにしていた。
そしてたまたま終わりが一緒になって、私が「仕事終わりの悠夜さんもかっこいいなぁ」とか考えながら悠夜さんをバレないように見つめていたら、パソコンで何かのお仕事をしていた店長さんが「夜遅いし送ってってあげれば?」と、悠夜さんに言ったのだ。
もしかしたら私が見つめていたのに気づいたのかもしれないけど、私はその時「この店長さんで本当に良かった」と心から思った。
悠夜さんも「俺はいいですけど……」と、私に気を使って確認を求めてくれたので、「悠夜さんがいいならお願いしたいです」と、ドキドキしてるのをバレないように自然な感じで言った。
そうして悠夜さんが私と終わりの時間が近い時だけ送ってくれるようになった。
店長さんが気を使ってくれてるのか、それからは悠夜さんと終わりの時間が近くなった気がする。
そしてその初めて送ってもらった時に悠夜さんがくれたメッセージが初めての連絡だった。
「いきなり連絡先追加して変に思われなくてほんとに良かった。欲を言えばもっとたくさんお話したいけど、それもこれからかな。送信」
私はそう言って「無事に帰還です!」と、悠夜さんに送った。
すると五秒もしないうちに読んでくれて、二十秒ぐらいしてから「うん」と、返してくれた。
悠夜さんからの返事は基本短い。
どんな時でも遅くても返事は一分以内に返ってくるけど、こうして待っていると、読んでから返すまではちょっと時間がある。
だけど返ってくるのは「うん」とか「はい」とかだ。
前にそれを聞いてみたら「なんて返そうか悩むんだけど、結局なにも思い浮かばないから早く返せる『うん』とかになるんだよね」と、可愛い返答をもらえた。
別に普通に話すことはできるけど、多分悠夜さん的には相手を待たせるのが嫌なのだ。
だから一瞬内容を考えるけど、早く返そうと短文(一言)になってしまう。
「そんなところも可愛い」
相手のことを考えて返事が定型的になるのは本末転倒な気もするけど、それはそれで可愛いからいいのだ。
「よし、可愛い悠夜さんも補給できたし、お風呂入ってご飯食べよ」
今日は多分寝るまで、寝てる間もずっと頬が緩んでると思う。
まあそれはそれで構わない。
だってこの家、アパートには私一人しか住んでいないのだから。
だから気にせずに頬を緩ませたままで生活しようと思います。
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