第6話
例えば、記憶がある頃から性的虐待を受けた人間の人生はどうなるのだろうか?
明るく元気な人生を送るのか、暗く陰鬱な人生を送るのか、はたまた別の結果になるのか。
しかしながら人並みの人生を送ることが容易でないのは明らかだろう。その点僕、
例えば、なんて言ったけどこれは僕の
これは歪んだ性愛によって歪められ、色々とぶっ飛んでいる
にわかには信じられないおとぎ話のようなハッピーエンドにはならない……………そんな
§ § §
実を言うと僕も
………………データって分からない?
ごめんごめん、図書館……もピンと来ないよな。あれだ、ギルドの資料室、あれだと思ってくれ。あれの超でっかい版。
この世界に来る前の記憶、と言う名の本への道筋が迷宮になっているようなものだ。とにかく複雑で、正しい順序で進まないと決してたどり着くことのできない。
あぁこれがお宝だったらいいのだけれど、残念ながらそこにあるのは確実に負の記憶だ。母親の死と性虐待という誰しもが敬遠するようなハッピーセットの。
君たち人間には『忘れる』という機能がある。これは心を守るための機能だ。彼もそれに漏れず日々少しずつ何かの記憶が薄れ、新たに何かを覚えている。考えてもみろ?恋人の首が落ちる瞬間なんて誰が覚えてたいんだ?
……………いやまぁ
ともかく、生い立ちを考えれば考えるほど
……………ごめんって、別にそういうことを言っている訳じゃねぇ。結論を言うとこいつの社交性とコミュニケーション能力はこの健忘によって支えられている。
だが、お前が
お前の行為は………正直褒められたもんじゃない。明らかに性的接触にトラウマを抱えているであろう少年に無理やり迫ったんだ。結果として
そりゃそうだろう?自分をトラウマから救ってくれた恋人が自分のせいで死んだんだぞ?これが心の傷にならないわけねぇだろうが。
大体、変な夢見てそれが人の過去だなんてぶっ飛んだ発想にも程があるわ!!……正解なんだどな。
あぁそうだ忘れてた、結果として、ついに僕は迷路を乗り越えこいつを手にした。
残念ながら予想通り誰も幸せにならないアンハッピーセットだが………お前にこれを読む覚悟はあるか?…………言うなればお前はただの残留思念であって別に誰かに咎められることは無い。…………でもお前は言ったよな?
『痛みや苦しみを全て理解することはできなくても、少しでも和らいでくれるように努力する』と。
………………いやこれは言い訳だな。
僕の自己満足にすぎない。
でも、僕はやっぱり
健忘という張りぼての上じゃなく、しっかり向き合った上で。
心の葛藤は避けることではなく、自分で受け止めることに意味があるんだ。
今はまだその時ではないのかもしれない。
だけど、いつか向き合う時が来た時、その隣に君が居てほしい。
きっと
何せ
…………これは義務だ。お前は何があっても
だからどうか……こいつの全てを知った上で…………再び愛していると言ってやってくれ。僕は頭を下げる。そして、ゆっくりと顔を上げた。
その目は真っ直ぐと僕を見つめてくれている。僕はその瞳を見つめ返した後、小さく頷いた。
…………………何?シオの声と姿形で変な喋り方するのはやめろだって?すまねぇな、割かしこの姿、気に入ってんだわ。
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