第13話 天使を拾ったあの日

ポーションを飲み干し眠気覚ましの豆を全て口に入れ何とか意識を繋ぎながらアタシは1人ダンジョンを後にした。


うちの都市にはいくつかスラムの診療所があるが欠損などの重傷に対応出来る話は聞いたことがない。

薄れ行く意識の中どうにかこうにか教会に辿り着きギルドカードと貯金情報を渡しアタシはそこで倒れた。

あの時のクソ修道女シスターの下卑た笑顔は忘れられず今でも偶に夢に出る。


まぁあれだ。さすがに交渉もできない死にかけが金だけ出して意識を飛ばしたんだ。いくらでも言い訳はできる。


その通りに

「最善は尽くしましたが……手遅れです……」

なんて抜かしやがった。


ただそこについてはアタシが悪い。腹は立つがな。


そのまま寒空の下に放り出された。


だが気付くと左手は元に戻り、ふらつきも無く身体中の裂傷も消えていた。

血だらけの包帯を剥がし、しっかりと身体が動いたには涙が止まらなかった。


そんな感傷もつかの間。


「さて、そこの猫耳さん?全部差し出すって言ったよね?

なんか寒さ凌げるところ無い?」


アタシはそこで人生で初めて神様とやらに感謝したんだ。


そこでシオに出会えたこと、それだけでアタシは今からでも修道女シスターになれるくらい神様って奴を信じてるぜ。


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