第33話
テストが終わると、教室には解放されたような雰囲気が流れる。
「テストどうだった?」
木島は僕に爽やかに聞いてくる。
テストは、これまでの中で最高の得点が出るかもしれないほど、手応えがあった。
「まあ、ぼちぼちかな」
点数が確定するまでは、なんと聞かれてもこう答えるようにしている。
「また、それかよ。まあ、柿崎は毎回点数高いからな。今回もできたってことだな」
僕は「まあ、ぼちぼちだよ」と言って、笑う。
その様子を見た木島は、何かに気が付いたような表情を浮かべ、言った。
「愛の力だな」
「まあ、ぼちぼ――おっと?」
「だろ?」
「……いや」
「今変な間ありました~。愛の力です~」
「うっざ」
確かに、今回は写真部の活動が原因で成績が落ちた、と言われたくなかったから、テスト前も気合を入れて勉強した。それが功を奏したのかもしれない。
「で、その後輩ちゃんとは付き合ったの?」
「……いや、全然」
「え、まさか、告白してないの?」
「いつから俺が佐藤と付き合っていると錯覚していた?」
「サッカー部の試合を見に来た時から、そんな雰囲気じゃなかったけ?」
「いやいや、マジで、そんなことないよ」
そんな会話で盛り上がる僕たちの下へ、浅野と竹内がやってきた。
「何々? なんの話? うちらも混ぜてくんない?」
「柿崎が、意気地なしだよねって話」
「かっきー? そうだねー」
浅野と木島は僕の方を見ながらケラケラと笑っている。この二人が仲良くしていると、僕はなんだか安心する。
「てかさ、かっきー、今度本気で、勉強教えてくんない? 赤点ヤバそうなんだよね」
「テスト終わった後に言うなよ」
「うーん、じゃあ、次回。二学期の中間、マジで教えて」
「いいけど……一週間前からね。その前までは先約があるから」
木島はこちらを見てニヤニヤしている。僕はなんとなく、木島の肩を叩く。木島は「強っ」と言って、ニヤけ顔を歪めた。
「おっしゃ、じゃあ次回は四人で勉強ね。約束したからね。じゃあ遥っち行こ」
浅野たちは次回の勉強の約束をして、帰っていった。
「じゃあ、俺も部活行ってくるわ」
「おう、頑張ってな。じゃあまた、テスト返しの日に」
木島は右手を挙げて応え、部活に向かった。僕はこれから二学期まで部活がないので、まっすぐに家に帰った。
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