第11話 終わらない 終わり

予感してた通りに終わりは来た。

もう、あなたを想ってもぬくもりはなく。あなたの名前を呼んでも応える声は聴こえなくなってしまった。

あの日から何度「恋しい」と泣いただろう。何度「幸せであるように」と祈っただろう。そして、泣くことを、祈ることをやめたのはいつの頃だっただろう。気がついてしまったの。そんなの無意味なだって。


「忘れてしまえ」とどこからともなく咆哮が聞こえた。


恋人たちは、生まれかわっても…と願い、叶わぬ者は、生まれかわったら…と祈る。私は…こんなにも愛しくて、哀しくて、切なくて、あなたを必要としているのに、運命でも宿命でもなかったのなら、何度生まれかわっても、もう二度とあなたと逢いたくはない。今生とは違う人生でも、祝福されるふたりだとしても、今生の記憶のカケラは私の中に残らないから…私には今生しかないから。懐かしさを感じる不思議より、今をあなたと生きたかった。

忘れるなんて難しいのかもしれない。少しずつ私の中からあなたを消せたらいい。忘れることも愛だと思うことにしたから。


―未だにあなたに見つけてほしいと思っている自分に気づく瞬間がある。ねぇ、私はどうしたらいい?―

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る