第3話 地上の残党
前日の夜渡された書類をカバンに収め、身なりを整えて職場へ向かうと、さっそく
「謁見は認可だ。服装を整えて、荷物を正せ」
いや
再び職場から出ると、そこには、両脇が金で飾られている、立派な黒色の自動車が止まっていた。一応念押しで聞く。
「ボス、人間違いではないか?」
「いや、それはない。お前にマナミづてに渡した書類は、しっかりと陛下の血判付きだ。」
のんびりと、窓の外の街並みを見続ける。車の臭いは、吐き気を催す様なモノだった為、すこしでも気を逸らそうとしたのだ。
暫く車内で待っていると、前席に乗っていた上官から「降りるぞ」と言われた。若干眩暈を感じたが、直ぐに治った。
目の前に広がる宮殿は、まるで全宇宙の全ての美を搔き集めて飾り付けたかの様な美しさがあった。城の周りには、赤と金の服装に身を包み、立派な銃を持っている近衛兵がいた。
金色に輝く
「やっぱり
と言われ、
「はいっ!」
と反射的に答えてしまった。実際そうだったからいいのだが。
5分少々歩くと、そこには厳重に閉じられた扉があった。扉を開けようとすると、
「痛っ!」
全身を電気が走った。すると、近くにいた若き近衛兵が、カレンへ駆け寄ってきてこう言った。
「貴女、
「はい、手提げカバンの中に」
「では、こちらに」
近衛兵に言われるがままに、ファイルの中身を全て金属板に乗せた。
近衛兵が別の近衛兵に渡してから暫くして、巨大な扉は重低音と共にゆっくりと開いた。
私が扉に入ろうとすると、先程の近衛兵がこういった。
「カレンさん、あの地で会いましょう。」
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誰もおらず、静まり返った宮殿を歩んでいくと、一つ、大きな扉があった。目の前についた所で、上官にこう言われた。
「陛下に会う前に、必ず
はい。と反射的に返事をした。
正装した後、立派な椅子に座っている陛下の元へ向かう。陛下の元へやってくると、陛下は
「座れ。」
と私達に言った。
「はっ。」
反射的に、私は陛下の前に跪く。
2mはあろうその大男こそ、若き
「カレン、君の件は父から聞いたよ。君の祖父が父の世話になった。」
「光栄でございます。」
カレンの祖父は、ラ・ムー26世、要するに現皇帝の祖父が皇帝であった時、摂政として活躍したが、カッソーラ朝のライバルであるロルヴァケル朝との長い内戦の末、銃創がもとで命を落としている。
「君から話があると言われたんだが、カレン。」
「はい。陛下に進言できる機会を戴き、光栄です。」
続けてカレンがいう。
「私の意見、聞き入れて下さるでしょうか?」
「いいぞ。」
「地球人全てが、我々の敵ではないと考えます。」
「と、いうと?」
陛下が付け加える。
「陛下は、地上にある『日本』という国をご存知でしょうか。」
「ああ、知っているとも。あの国は、西の大国ムー王国の支配層である『ヌイフォン』が人類同士の戦争で文明が崩壊した後に移住して、そのまま現地民族になったやつだろ?」
「仰る通りです。」
陛下が質問混じりに言う。
「貴殿は、その『日本』が敵ではないと言うのだな。」
「はい。」
暫くの沈黙の後、部屋に笑い声が響く。
「ハッハッハッ、面白いやつだな君は。気に入った。今日から私の側近として、ともに地上人への復讐を果たそうじゃないか。」
え~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~⁉⁉⁉⁉⁉
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