第12話 孤立の中で

 今日も私は魔法学園に登校した。しかし、いつもと雰囲気が違うことに気づいた。生徒たちが、私と目を合わせようとしない。視線を向けてみたら、みんなサッと顔を逸らしてしまう。


 関わり合いたくない、というように。


 教室に入ると、やはりいつもと違う雰囲気を感じた。いつもより、視線を感じる。でも、それは好奇の視線ではなく、疑いや警戒の視線だった。


 私の席の周りが妙に空いているような気がする。まるで、私に近づきたくないかのように。


 席に座ると、いつも寄ってくる親しい友人たちが、今日は遠巻きに見てくるだけだった。彼女たちも、か。話しかけてこない。チラチラとこちらを見てくるだけ。


 なんだか居心地が悪い。胸の奥がざわざわとする。でも、これは仕方ないことだと思う。私が悪いわけじゃないけれど。


 おそらく、みんなこの前のパーティーでの出来事について聞いているのだろう。その場面を直接見ていた子もいると思う。


 あの場面で、私はいじめについて否定した。けれど、きっと噂になっているはず。アルフレッド王子が私を責めて、エドガー様と言い争って怒ったことも、みんな聞いているに違いない。


 王子の反感を買いたくないから、様子を見ているのでしょう。アルフレッド王子を怒らせた可能性のある私を避けている。彼の影響が、まだ残っているなんて。もう、私と彼は婚約を破棄して無関係になったはずなのに。


 時間が経てば、きっとみんな元通りの態度に戻ってくれるはず。この状況も徐々に戻っていくと思う。早く戻ってほしい。




 魔法の授業が始まる。今日は訓練場に移動して、二人一組になって魔法を撃って、防ぐ練習をするようだ。


「ご、ごめん。今日はちょっと、別の子と組むことになっちゃったの。ごめんね」

「わかったわ」


 いつもパートナーを組んでいた子に断られてしまった。そこまで避けられるなんて悲しいな。他に余っている子はいるかしら。どうしようか悩んでいると、声をかけられた。


「貴女、一人なの?」

「え?」


 声が聞こえた方へ振り向く。


 一人だった私に声をかけてきたのは、アルフレッド王子の新しい婚約相手になったヴァネッサだった。


 まさか彼女が私に話しかけてくるなんて、意外だった。戸惑いながら、答える。


「えぇ、一人よ」

「じゃあ、一緒に組みましょう」

「私と?」


 ヴァネッサが私とパートナーを組みたがるなんて、どういうつもりなのだろう。


「えぇ、貴女と」


 ヴァネッサの瞳を見つめると、何か企んでいるような気配を感じた。だけど、別に問題ないと思う。せっかく誘ってもらったし、授業を受けるためにとりあえず彼女と組むことにした。


「じゃあ、お願い」

「えぇ、よろしく」

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