第8話 まさかの再会!? 〜白崎なな
森の中からパッと出てきたのは、ここではじめて出会った黒い大きな鳥だった。黒い鳥は、ルナを見つけるとぴょんぴょんと跳ねるようにこちらに近づいてきた。こんな大きな鳥が口を開けたら、ひとたまりもないだろう。
ルナは、その黒い鳥を見つけると手を振り始めた。黒い鳥は、ルナに頭を下げてグルグルと甘えた声を出している。
「鳥さん、いい子だねっ! 街の書庫に連れてって!」
ルナがそう言うと、黒の鳥が羽を大きく開いて俺とルナを背中に乗せた。鳥の上だというのに、ほとんど揺れもせず空を飛行する。
空に浮かぶ大きな島々を横切り、上から降ってくる川の間をすり抜けて薄い雲を突っ切った先に大きな島が出てきた。
今まですれ違ってきた島のどこよりも、星々に負けない程の輝きを放っている。街と言われるのがよくわかるほどの場所が広がっている。
「またね!」
鳥は、ルナの声に反応をして羽を大きく広げて真っ暗な空と一体化して飛んでいった。街について、大きな図書館を目指していく。なんだかルナは、スキップをしていてとても楽しそうだ。
「まだ何か調べることがあるのか?」
俺の方に振り向き、少し得意げな表情をする。
「知ってるには知ってるんだけど、ひとつだけ確認したいことがあるんだよっ」
やはりここは、書籍でしか欲しいデータを得られないのかもしれない。前の世界であれば、知りたいと思えばインターネットでサクッと検索をすることができたのになんとも不便だ。
図書館について、重たい扉を開いた。その中は、図書館とは言えないほどの大量の本。そして、大きな本棚がぐにゃりぐにゃりと動いて場所が移動をしている。
俺は、呆気に取られ口があんぐりと開いてしまう。そんな俺を置き去りにして、ルナは中に進んでいっていく。
ルナは振り返って、手招きをして俺のことを急かしてきた。もうすでにその手には書籍が一冊手に握られている。
「これこれ!」
そう言って見せられた書籍の中身は、先ほどと同様に “太陽の世界” についてだった。
『太陽の世界の人間は、魔法が使えないがその洞窟の試練を3つ乗り越えなければならない。そこで得られた三つの魔石によって、世界に大きな事柄が起こる』
太陽の世界と繰り返し出てくる文字に、不思議に感じた。確かにここは、常に月が出ていて真っ暗な夜空が空を覆い尽くす。一方で俺のいた世界は、太陽が常に空にいて大きな山に夜は顔を軽く隠すのでそれが自分たちの時間感覚としてあった。
俺のいた世界を “太陽の世界” とするならば、ここの世界は “月の世界” だろうか。
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