第3話 これからどうする? 〜みみっく
落ち着いた所で上空と周りを警戒しながら、薄暗い夜道を数時間も当てもなく歩いているが一向に明るくなる気配がない。
(これからどうしようか?かなり時間がたったと思うぞ?さすがに腹が減ってきたな……)
腹が空き辺りを見回すと、先程の見たこともない……まるでゲームかアニメに出てきそうな生き物が争ったような跡を見つけた。
(これは巻き込まれたらヤバイだろうな……)
大木が薙ぎ倒され地面が盛り上がり大穴が空いていて壮絶な戦いであった事が容易に想像ができる。
何かこの辺りに食料になりそうな物があればと探して歩き回った。戦いの跡の近くの場所で木が良い感じに折れて先が尖っている木の棒と呼べる物を発見した。
(長さも丁度良さそうで長すぎず短すぎないし、重さも丁度良さそうだな……身を守る為にも無いより少しはマシだろ)
武器を手に入れた安心感で、被害を受けていない大木に寄りかかり座って休んでウトウトとしているとガサゴソと音と気配を感じ緊張が高まった。
(これは……逃げるべきなのか? 大人しく動かずにいるべきなのか? 正直、逃げて助かるとは思えなそうだが……)
体力も残っておらずその場に大人しく静かにしている事を選んだ。すると見た事があるような動物が寄り掛かっていた大木の後ろから横を通り過ぎて自分に気づいてる気配は無く1頭のみで群れで移動している感じではない。
考えるより行動をするというよりも生存本能が働いた感じでイノシシと思われる生き物の首元を、拾ったばかりの木の棒で突き刺していた。
突き刺されたイノシシは逃げ回ろうとするが平衡感覚を失ったのか同じ場所をグルグルと周り遅くなった所を止めを刺した。
(……これは……俺が倒したのか?)
夢中で何も考えずに行動をしていて落ち着いて冷静になってくると、イノシシの首元に再び刺した木の棒を握りしめ手と膝がガクガクと震えだした。
(俺が殺したのか?そもそもイノシシを殺して食えるのか?肉を取り出さないとなんだよな?俺に、それが出来るのか?)
イノシシの喉に突き刺していた棒を引き抜き地面に突き刺した。イノシシを解体するにはナイフや刃物が必要だった。そんな物を持ち歩いている訳がないと諦めていた。諦められずに肩に掛けていたスクールバッグを漁っていると技術の時間に使ったカッターナイフをずっと入れっぱなしにしていたのを見つけた。
これから行おうとする事を思うと、再び手が震えてくる。
震える手で空腹に耐えられす決意をした。ここは元居た世界ではなく別の世界という事も明らかで助けが来る事もない。このチャンスを逃せば次の食事が出来るチャンスが来るか不安でもあった。
テレビやインターネットや本の知識を頼りに震える手に保つカッターナイフでイノシシを解体し、なんとか売っている物の様にキレイな形ではないが肉を手に入れた。
手に入れた肉をスクールバッグの中に詰め、丁寧に切り取ったイノシシの皮に入り切らなかった肉を包み持ち運べるようにした。
あとは調理する火が欲しいが、ライターやマッチは流石に持っていはいない。インターネットで見た動画を頼りに枯れ枝や落ち葉を集め、火を起こすのに挑戦した。
木の棒を両手で挟み回転させて火を起こすのを試すが、体感時間が1時間は過ぎている感覚だが煙すら出てこない。出てくるのは、手のひらからマメができマメが切れて血と痛みだけだった。この方法でムリだと諦め、別の方法を試す事にした。
この方法も動画で見た知識だ。まず木を固定して、木の棒を前後に擦り続けるという方法で。擦り続けていると僅かに煙は出るようになってきて希望がみえてくるが、肝心の火が出てこない。空腹と焦りで悪戦苦闘をしているとイライラしてくるが、落ち着こうと深呼吸をして心を落ち着かせ考えた……
(……そうだ! ノートなら燃えやすいかもな!)
ノートを破り煙が出る場所へ置き、再び挑戦をすると煙が先ほどと比べると段違いにモクモクと煙が立ち昇りってきた。慌てて息を吹き付けるとボワッと火が紙に燃え広がった。
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