太陽と月
白崎なな
第1話 色が変わる時に? 〜みみっく
事件は突然起きた。殆んど覚えてはいないが俺には双子の妹がいた。その妹の記憶は幼い割にはしっかりもので俺の後を付いて回る可愛い妹だった事を薄っすらと覚えているくらいだ。無事に生きていればと思いつつ学校帰りにフッと妹の事を思いだした。
晴れた暑い夏の空で、大きく広い青い夏の雲が見えて眩しい。空は高く、手を伸ばしても掴めない。帰り道に妹の事を思い出したので引き寄せられるように妹と一緒に遊びに行った自然公園に足を運んだ。あまり人の来ない、大樹のあるあまり知られていない場所に足が勝手に向かっていた。
大樹のある場所に着くと白い花が無数に咲き乱れて、花びらが空を舞い踊り暑い夏の日に雪が降るように感じさせる。舞い落ち方に違和感を感じるが、幻想的で美しい……
その幻想的だった雰囲気が徐々に変わり始め空が暗くなり、空を見上げると辺り一面を闇が包み込む。それにも関わらず、眩しい太陽は出ていて月も出ているというなんとも異様な雰囲気が漂い始める。月の青白い光に、太陽の黄色の光が一つの大樹に降り注いでいる。空の暗さを強調させている。
すると大樹の花が徐々に不気味な黒色に染まり始め、舞っていた花びらまでもが黒く怪しい雰囲気を感じさせる。背中に冷たい空気が流れて、呼吸が浅くなる。
目の前に幻想的だが怪しい膜のような物が現れた。不思議な美しさに、吸い込まれるように手を伸ばし触れた。
なんとも異様な光景に、心臓がギュッと掴まれるように感じ息苦しくなり大樹を見上げると黒い炎が大樹を包むようにボワッと燃え広がるのが見えた。
そこまでの記憶しか残っておらずフッと目が覚めると、地面に横になっている状態で目を開けた。漆黒の夜空が広がり、ずっと見ていると吸い込まれそうな感覚に襲われゾクッとした。
「なんだ? ここは何処なんだ?そんなに寝ちゃったのか……もう真っ暗だぞ。この感じだとヤバイな、深夜って感じじゃないか? 絶対に両親に怒られるな」
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