…
そばに無言で控えるヴォルフはモニターに顔を向けながら、いらだちで震えるオトゥの頬を、目の端で捉えた。
オトゥは立ち上がると、前に座っている通信係のダイソンの背中に向かって指示した。
「今すぐ、父上につないでくれ。上奏する」
「はっ!」
オトゥの父は、リントヴルム国王、キング・ドードである。
彼は国中の敬意を集め、宰相ナミエラを従えつつ、国政を行っていた。
王政を敷いており、なおかつシビリアンコントロールが機能していた。よって、ドードの意向がナミエラのそれであり、同時に国軍トップのザクセン総司令官はそれに従う立場である。
モニター画面に白髪混じりの頭と、口周りに豊かな髭を蓄えたドードが映る。
「何だね、オトゥ?」
その声に、ヴォルフを始めとする諜報室にいるスタッフ全員十数名が一斉に、反射的に席を立った。そして画面に向かうと背筋を正し、敬礼した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます