森に捨てられた俺、転生特典【重力】で世界最強~森を出て自由に世界を旅しよう! 貴族とか王族とか絡んでくるけど暴力、脅しで解決です!~

WING/空埼 裕@書籍発売中

第1話:転生したのに売られ、捨てられ

どうも作者です。暇つぶしに書いた新作です。

ストック尽きるまで毎日投稿するよ!

よろしくね!


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 気付くとそこは白い空間だった。


「俺、多分死んだよな?」


 少し前のことを思い出す。

 大学の帰り道、暴走した車が信号無視をして歩道に突っ込んできた。

近くに小学生くらいの女の子がおり、その子を突き飛ばしたのは良いが、そこからの記憶がない。


「お主は死んでおるよ」


 目の前にジジイが現れた。


「ジジイとは失礼な。ワシは神様だ」

「あ、心が読めるんですね。というか神様?」

「妙に落ち着いているが……ああ、なるほど。ラノベとかいうやつか」


 日本文化に詳しいなこのジジイ。


「ジジイは余計じゃ!」


 ツッコミを入れるジジイはコホンと咳払いをして話を始める。


「まあ、お主を異世界に転生させる」

「理由なくね? もしかし女の子? もしかして未来で薬を作って多くの人を救うとか」

「なんか慣れておるのぉ……まあ、その通りなんじゃが」

「ふーん」


 特に何も感じない。

 転生させてくれるなら有難い。異世界とかワクワクするもん。


「で、転生する前に特典じゃ」

「理解した。何をくれるんだ?」


 もらえるものは貰っておこうの精神だ。


「この中から一つ選んでくれ」


 目の前に半透明の画面が現れ、そこにスキル一覧が載っていた。

 色々なチートスキルが存在している。

 魔導の極み、剣聖、武神とこれさえあれば異世界で無双できそうだ。

 一つ一つ見ていると面白そうなスキルを見つけた。


【重力】

 重力を操る


「この重力ってなんだ? 説明が意味不明だ」

「それはワシが趣味で作ったスキルじゃ。使い手が理解できれば最強になりうるスキルじゃぞ?」

「ふーん。じゃあこれでいいや」

「適当じゃのう……」

「優秀なんだろ?」


 ジジイは頷く。

 ならこれでいいじゃん。


「わかった。スキルに関しては詳しく見れるようにしておこう。では転生させる。転生先はランダムになっている。では自由に生きるとよい」


 こうして俺は異世界へと転生した。


 ◇ ◇ ◇


 ってわけで、転生したよ!

 あまり裕福ではない一般家庭のようだがまあいい。

 さっさと独り立ちして自由を謳歌するんだ!


 ――十年後


「おいテオ! さっさと酒を買ってこい!」

「わかった」


 アル中の父に言われて俺は酒を買いに行く。

 これ、転生先失敗だろ。

 アル中の元冒険者の父と言い、父さんと結婚しているくせに売春なんてしている母さんといい。

 クズ過ぎる……


「だが独り立ちするにはまだ成人してないんだよな」


 16歳が成人の世界だ。

 あと六年我慢すればいい。


「父さん、買ってきたよ――ってこの人たち誰?」


 家の前には俺たち平民と違い身なりが良い。

 貴族ほどではないことから、商人なんだろう。


「ああ、コイツです」

「ふむ」


 すると中年の男性が俺をジッと見つめる。


「ふむ。五万ゴールドですね」

「いくらなんでも安いだろ!」


 この世界では一ゴールド一円と考えてもらえれば結構だ。

 平民が一カ月生活するのに大体十万ゴールドあれば足りる。

 てかコイツ、俺を見て五万って言ったか?


「仕方ないですね。では八万ゴールド。それが限界です」

「ッチ。わかった。それでいい」

「交渉成立ですね」


 もう一人の男性が金貨を八枚父さんに投げ渡すと、それを急いで拾っていた。


「ま、待て! なんで勝手に俺が売られることになるんだよ⁉」

「お前はまだ未成年。だから親の俺が所有者だ。お前を奴隷商に売ろうが売らないは俺の勝手だ。さっさと出ていくんだな」

「おい! クソ野郎が! それでも親か!」


 父さんは俺の声を無視して再び酒をあおり始めた。

 そして俺は奴隷商の男に連れられて行くのだった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


夕方頃にもう一話投稿します。


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