第8話 魔法学園の受験③
「君は何レベルかな?」
レベル?
…あ、それってなんか転生するとき神が言ってたやつか!
今までそういうの意識したことなかったから完全に忘れてた。
「そ、それは…その…は、測ったことがな、ないです」
「……」
「……」
「…え?」
そして俺たちはしばらく沈黙した。
………
……
…
「確か、レベルを測るテスト?をやると思う。君はそこで確認すればいい」
おお、そんなテストがあるのか。
ていうか俺のレベルはどのくらいだろうか…。
1の可能性もあるし、さっきオーガを倒したから10とかも有り得る!
楽しみだなぁ。
「ところで、お前のレベルはどのくらいなんだ?」
「本当は言いたくないんだけど…僕は4だよ。小さい頃自衛のためにレベルを上げたんだ。魔物と戦ってね」
「小さいって、どのくらい小さい頃だよ」
「それは僕が――」
ふぁーあ
欠伸でた。
「―…って、もう遅い時間だね。寝ようか」
ランドリックは時計を確認してそう言った。
「そうだな。じゃ、おやすみ」
そして俺は自室に入ってグッスリ寝た。
「――て―き―――」
「スピー…」
「て―――おき―おきて―――起きろぉ!」
「ファッ!?」
びっっくりしたぁぁぁ!!
こいつ、耳元で叫びやがった…。
朝だ。寝たことに気が付かなかったくらい良く寝たなぁ。
……今何時?
俺は時計を見た。
短針は九時を指している。
「まずい遅れる!」
「そう!早く行かないと!」
俺達は速攻で支度を済ませて寮を飛び出した。
* *
ようやく俺が試験場に着いたとき、既に説明が始まっていた。
「「遅れました」」
試験官は遅刻した俺たちを一瞥して、すぐに説明に戻った。
突っかかれるよりはマシだけど…試験官としてそれはどうかなあ。
ちなみに説明は校長先生の話くらい長かったので要約した。
といっても、昨日説明されたことと変わらないが。
・くじで戦う順番を決める
・トーナメント形式
・ダメージは本人にはなく、特殊な魔道具が肩代わりする
・一定以上のダメージが入ると負けになる
・戦闘不能になった場合も負けになる
・合格かどうかに勝ち負けは関係なく、魔法の展開速度や精度を見て決めている
・受験者のみ参加可能
こんなかんじ。
そして俺はくじを引いた。
俺は最後に戦うことになった。
最初に戦う人が向かい合った。
一人は赤髪。ちょっと気の強そうな女性である。
もう一人は白髪。小柄な少年だ。
「では、始め!」
戦いが始まった。
「炎よ敵を焼き尽くせ、ファイヤーボール!」
「石よ敵を傷つけよ、ストーンバレット」
赤髪が炎、白髪が石を飛ばした。
「壁よ魔法を防ぐ盾となりて顕現せよ、マジックウォール」
赤髪が体を横にずらして石を避け、白髪が魔法障壁で炎を防ぐ。
白髪は更に石を飛ばす。赤髪は全てを避けているが、あまり余裕はないようだ。
「ちょこまかと…」
白髪は中々当たらない赤髪に苛立っている。
ここで赤髪は仕掛ける。
突然、動きを止めたかと思えば、早口で詠唱を始めた。
「風よ敵を切り裂け、ウィンドカッター!」
手から鋭い刃のような風を放った。
それと同時に白髪に接近する。
白髪はすぐに魔法障壁で風の斬撃を防いだ。
しかし、近づいた赤髪に気づいていない。
赤髪は白髪の懐に潜り込み、そのまま腹を殴った。
「スキル『二連攻撃』!」
そして白髪は倒れた――のではなく霧散した。
代わりにそこには割れた木の人形があった。
「スキル『身代わり』」
その声とともに白髪が離れた位置から現れた。
「な、なに!?確かに倒したはずなのに…」
「お前が倒したのは僕の身代わりだ」
身代わり?どういうスキルか気になった。
小さい頃、俺は権能でどういうことができるかを考えた。
スキル・魔法を封じる――それだけが能力ではないと思った。
というかこの世界のファンタジー系のものは全部封じられるんじゃね?
そこで俺は試したのだ。鑑定とかできないかなーと。
結論、できました。
テキトーにやってたらできた。
皆が想像するような、ステータス画面とかではないけど、確かに
そんな訳で、白髪を鑑定してみた。
スキルの名前は『身代わり』で合っている。
さてさて、どういう働きをするかな。
『一日に一回、身代わりを作れる。自分の好きなタイミングで身代わりと位置を交換できる。一度使った身代わりは壊れる。また、一日経ったら壊れる』
だそうだ。
つまり、勝つには赤髪はもう一度彼を倒さなければならない。
「水よ敵を覆いつくせ、ウォーターカバー」
「くっ、炎よ敵を焼き尽くせ、ファイヤーボール!」
赤髪が炎を飛ばし、少し遅れて白髪が水を高速で飛ばした。
「炎よ壁となりて攻撃を燃やせ、ファイヤーウォール!」
飛んできた水は炎の壁に阻まれてスピードと量を少し失うも、関係ないとばかりに赤髪に迫る。
しかし、それで充分だった。赤髪はその水球を避けた。
そして炎の壁を解除して白髪に再度攻撃を仕掛ける。
「炎よ敵に纏い全てを焼き尽くせ、ヘルフレイム!」
「何!?壁よ魔法を防ぐ盾となりて顕現せよ、マジックウォール!」
白髪は障壁を展開するも、すぐに貫通された。
そのまま炎は彼に向かい、当たった。
ビー!と音が鳴った。
「勝負あり。勝者、エリオス(白髪)!」
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