生きる・きた ‐ パート3(日本語)
結局、『普通』の人々が直面する問題を知らない僕には、他人が人生で直面する障害を考える資格なんてないんだ。
…
「■■■くん!待ってよ!」
「え?」
ああ、そうだ。通学路のこの辺りで、友達が僕に声をかけてくるんだった。
(追いつかせないと、一日中あの女の子特有の『ふくれっ面』を見せられることになるな。)
いつもの会話だ。
「――いつも私を置いて先に行くなんて信じられない――!」
「――ごめん、本当にごめん!――」
「本当に■■■くん、君は――」
彼女はいつも通りの乱れた髪で僕の隣を駆けてくる。歩きながら僕を睨むように前のめりに顔を上げて。
ああ、なんて意地悪なんだ…
この子とは長い付き合いだけど、彼女が朝に強いのを見たことがない。もしくは、彼女はヘアブラシの使い方を知らないのかもしれない。
少なくとも制服にはアイロンをかけているみたいだ。僕たちが通う学校ではきちんとした身なりが重要で、さもないと先生たちは『学校のイメージ』についてうるさい。
僕は彼女が好きなのだろうか?正直、よくわからない。でも他の人たちは彼女のことが好きなのは確かだ。人気があるからわかる。
もしかして、彼女は僕に好かれようと努力しているのかも?髪が乱れているのも、ある程度は可愛らしさの表現なのかもしれない。そうだとしたら納得できる。何しろ、僕たちはただの子供だった頃からずっと知り合いだ。
家族同士も知り合いで、彼女も僕と似たような育ちをしている。彼女は僕の女性版みたいなものだが、人生を通じてもう少し礼儀正しいところがある。
僕には『好かれ度』において浮き沈みがあった。でも彼女は違う。彼女はいつも誰にでも人気があった。
それでも彼女がこうして僕にぴったりとくっついて、教室や校庭で僕を邪魔する理由を不思議に思うことがある。年が始まる時、僕が同じクラブに入らないと知って怒っていたほどで、埋め合わせをしろと言い張っていた。
ある意味、彼女が自然に好かれるのは尊敬に値すると思う。僕が努力して人に好かれようとしているのに、彼女は流れる水のようにそれができるみたいだ。もしかしたら嫉妬しているのかもしれない。
(嫉妬…)
うん、嫉妬というよりは羨望かもしれない。
『羨望』という言葉は、彼女を見て僕に敵意を抱く人たちのために取っておこう。まるで『僕が彼女と一緒にいるべきだ!』と考えるように。
そうだ、まさにそんな感じだ。この女の子と一緒に歩いている僕を見て、ほんの数人の同級生から軽蔑の目で見られるのがわかる。
僕が彼らに好かれるためにどんな努力をしても、彼らの中には過去の行いによって僕への羨望が増幅されている人がいる。それは当然のことだ。僕も同じように思うだろう。憧れている女の子に近づく『クズ』のように見える男がいたら。
うーん…彼女との関係をもう少し真剣に考えた方がいいのかな?それが正しいことなんだろうか…?
(誰かが走ってる?遅刻してる生徒かな…ああ、朝からそんなに大きな音で走ると年寄りが怒るぞ。静かにしてくれ――)
「い、痛…?」
背後から迫ってくる足音が大きくなったと同時に、背骨に火花が走り、体が硬直する。熱く焼けるようでありながら同時に凍えるような感覚が背中全体に広がり、冷や汗が肌を覆っていく。
隣では彼女が悲鳴を上げ、震えながら言葉を詰まらせている。恐怖に歪んだ表情が浮かんでいた。
「どうした?なんでそんな顔を…?」
ズボンの足元に液体が伝い、地面に滴るのを感じて、震えながら下を向く。
血…しかも大量に。足元に広がる血の池。
胃がねじれるような感覚がして視界がぼやけてくる。
ああ…そういうことか。僕は出血してる?どこから…痛い。背中が痛い…
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