🔮パープル式部一代記・第五十三話
さて、
「一応、和泉式部の籍は残ってるらしいから帰ってきたら、ややこしいからさ……」
「はあ……(わたしも、もっと素敵な名前欲しかったな……)」
実は、
『誰の子と言われても……産んだのは産んだけどね』
そんな言われようの彼女は、一応の戸籍上の父は、道長の側近である
そして、駆け落ち騒動でどこにいるやら分からない……そんな母からなにかしら心配の文が……などと、
「緑子……じゃなかった、
「今度、一緒に
「え? よかったじゃない!? やっぱり娘を心配して……え?」
「おいしいからって最近はまってるらしくって……一体どこにいるのやら……」
「イワシ柄……う――ん、寝間着にするしか……」
「
「え? それは、どういう意味!?」
なお、これは歴史には残っていない話ではあるが、平安時代と言っても長いので、その間に装束はじょじょにモデルチェンジしてゆくが、時代が流れゆくにつれて、柔らかだった装束が
そんなこんなで、寝殿入り娘の姫君たちは、それぞれにあつらえた「賢子印」の攻めた装束を着て母たちが眉をひそめるのも気にせず、たまに方忌みを理由に、どこかのやかたで、いわゆる女子会を開き、お互いに自慢しあっていた。
もちろん、中宮・彰子もなん枚かあつらえて、ごくたまに、藤壺で限定の女子会「藤の集い」を開いては、「賢子印」の攻めた装束の新作を着て、賢子印の装束ファンの姫君たちから、「やはり今回の新作もいと素晴らしき……中宮さまは分かっていらっしゃる……」などと、うらやましがられていた。
そして
「ま、母も目が覚めたし割合に元気……とにかく、仕事は山ほどあるから、ひとつひとつ頑張ろ……」
「そ、そうね……」
なにせ、焼き出されて駆け込んだ臨時の里内裏である。ふたりは、「イワシ柄の反物」を置いて、
一条院、
そして、蔵書が燃えたショックで寝込んでいる帝をよそに、道長は後処理に追われていた。
「これで通算三回の火災! もう笑うしかないな!」
「おい道長! まだ火が収まってないのに不謹慎!」
「これをきっかけにウチの
「人の話聞けよ!」
「
「
「いいねぇ……」
息子たちは、まだ
「~~~~」
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