第十六話 冒険の第一歩

フィーナに準備してくるから先に外で待っててと言われて、俺は外で待つことにした。

お父様の熱き想い握力で俺のお手手は潰れたトマトになるのは回避したが、トマトのように赤く腫れあがっていた。


朱雀『せっかく傷を癒したのに、もう怪我をするなんて…』


だって仕方なくない?

お父上の般若笑顔が怖かったんだもん。

魔王と同じくらい怖かったんだもん。


神「そういえば聞きたいことがある…」


俺はふとこれまでのことを思い出して、四神に問いかける。


神「どうして魔王が俺を誘った時、お前らは何も言わなかったんだ……?」


玄武『お主が魂となって最初に来たところ、そこは生と死の境――。つまり、我らの時間軸。故にお主を無理やり連れてくることができたのだ』


時間軸――?つまりこいつらの世界ってことか?

てか、無理やり連れて来た自覚あったのかよ!


青龍『しかし、転生した後については、お前の意思を阻害することはできん――』


うん……あの状態で俺の意思尊重されても困るんだが……。


神「勝手だな――」


俺は空を見上げる。

この世界のことはまだ全然わからない。

だけど、俺が魔王を倒したことでこの世界に少しでも平和が訪れたのなら……。


神「俺があの時、魔王についていったらどうしたんだ?」


玄武『そしたら、俺達はおめーから抜け出していただろうぜ』


神「つくづく勝手だな……」


朱雀『嫌になりましたか?』


神「別に。無理やり連れて来られたのは根に持ってるし、この世界のことはまだわからないけど、あの時、魔王に言った言葉は変わらないよ――」


俺は目を瞑り思い出した。

夢の事、魔王との激闘、そして――流れ込んできたスカー魔王の記憶。

そして、俺は真剣な声で四神に問いかけた。


神「これは真面目な話なんだが、ステータスオープンはどうやるんだ……?」


玄武・朱雀・青龍・白虎『『『『は?』』』』


四神が揃ってまぬけな声を発する。


神「いや、ステータスだよ、ステータス!異世界って言ったらステータスオープンとアイテムブォックスは切っても切り離せないものだろ!わかるだろ?」


玄武『まったくわからんな』


青龍『それがあると、どうなるのだ?』


神「そりゃ、ステータスが分かれば自分の強さが分かるし、戦いの戦略も立てられるだろ!」


玄武『おめー既に魔王を倒してるんだから、それだけの強さだって分かっただろ。それに、戦ってる最中にそんなもん見てられねーだろ!」


ぐぬぬぬ……普段人の話を聞かないくせに、こういう時だけ鋭いことを言いやがる。


神「なら、アイテムブォックスはどうだ?アイテムを無限に入れられて持ち運べたら、この先の旅に絶対必要だろ!」


朱雀『あなたの目的は魔を払うことです。旅をすることではありませんよ』


玄武『荷物は最低限でよかろう』


なんでだよおおおおおお!!

一回しか使えない加護や転移はほいほい使うくせになんでこれはダメなんだよおお!!


青龍『なのにこんな依頼を受けるとは』


え?何?俺が悪いの?

てか、さっき俺の意思を尊重するとか言ってたけど、尊重する気なくない?


などと四神と戯れていると準備を終えたフィーナが家から出て来た。


フィーナ「おまたせー!」


袖は長く、ゆったりと広がる「振袖」型で袖口・胸元に金糸の模様、ハイウエストのプリーツスカート。

薄紫の帯をして茶色の編み上げブーツ。

全体的に白を基調としていて、少し和風な感じられる服装だった。


先ほどの村娘のような格好とは違って、これはこれでグッドだぜ!


フィーナ「どうしたの?」


あまりの可愛さに見惚れているとフィーナが問いかけてきた。


神「い、いや、すごい可愛いから、つい…」


フィーナは一瞬キョトンとした顔したが、すぐにニカッと笑って「ありがとう!」と言った。

ああ、なんて可愛いんだ!


神「それより今から向かうところって遠いの?」


フィーナ「うーん、ここから3時間くらいかな。夕方には戻って来れると思うよ」


神「そっか、それじゃ早速行こうか」


フィーナ「うん!道中頼りにしてるよ!」


そう言ってフィーナは俺の背中をぽんっと叩いた。

初めて異世界で冒険らしい冒険を始めることで、期待で俺の鼓動が少し高鳴っている。

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