クソ客S・MTHK君~兵庫県痴児は神戸福原のソープ全店から出禁になる~

かずきー

第1話 瞬間ハリセンボンMTHK君~美しい兵庫県痴児様はムダ毛処理に余念がない~

 本作品はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係がありません。


 俺様は兵庫県痴児のS・MTHK様だ。


 自分に妥協しない為政者の鏡である俺様は今日も使えない職員どもを厳しく指導して県政を進めている。ただ毎日気の利かない愚民どもと働いているとどうしてもストレスが溜まってしまう。


 今日も神戸市内の視察で朝から夕方まで息つく間もないくらい忙しい。贈与品のコーヒーメーカーで淹れたエスプレッソで朝の眠気を払いながらノートPCを立ち上げてスケジュールを確認する。


「病院と老人ホームの視察に昼飯は神戸牛の試食か、かったるいなぁ。確か老人ホームと同じ時間に、後から女子高の体育祭に招待されとったな。老人蹴ってそっちに行ったればよかったわ。ストレス溜まるわー」


 そう思いながら予定を読み進むと、最後の視察先である病院の住所に目が留まる。


「神戸大医学部付属病院? 新開地の近くやな……。そうや! 福原のソープ街に行って奢らせればええやん!」


 病院の視察が終わったら新開地の特殊浴場協会に寄って地域の浄化作戦計画をちらつかせて高級ソープを奢らせればいい。そうしよう!


「犯ったるでぇ! 俺様の性技で福原の泡姫をひぃひぃ言わせたる!」


 俄然やる気が出てきた俺様は早速(ソープ通いの)準備を始める。やっぱり俺様はカッコよくないといけないからな。髪型よし! 眉毛薄い! シャツもスーツも上等! 髭も剃った! フツメンなら髭を剃るだけで済ませるのだろうけど、常に三面鏡で身だしなみチェックを怠らない俺様は一味違う。ムダ毛は全て剃りつくした。陰毛はもちろんのこと、腋毛も乳輪毛も全部だ! これで完璧痴児


 ムダ毛処理で出発が20分近く遅れてしまったが最初の視察は老人ホームだから問題ない。もう人生の消化試合に入っている老人たちの時間よりも俺の時間の方が貴重                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     に決まっている。なんたって俺様は痴児だからな。


――そして時は夕暮れ――


「ヒャッハー! 仕事終わったでゴルァ! 抜いたる! 抜いたるでぇ!」


 病院までの視察は巻いて終わらせて、特殊浴場協会も飛び込みで視察完了。当初は「飛び込みは困るから後日にしてほしい」なんて言っていたけど「俺は痴児だぞ!」と言ったら難なく視察できた。痴児の権力万能すぎだろ。結果として次の保健所検査の日程を事前に知らせることを条件に高級ソープの無料利用権Getだぜ! 俺様は運転手に福原の桜筋で路駐させて、ノートPCを開く。風俗サイト「街天国」で出勤嬢を確認するためだ。痴児たるもの車中でも時間を無駄にせず働くものなのだよ。                                                           


 さて、今回タダ〇ンできる店は福原桜筋の234Qか、在籍嬢の一覧を見ると上位ランクの嬢には特別料金がかかるらしい。協会では店のどの嬢でもタダ〇ンできるように話を通してくれると言っていたから、物色は当然特別料金のLegendクラスからだ。やっぱり抱くなら俺に相応しい女じゃないといけないからな。


「よし、20歳162cmB92W55H88のアイリちゃん! キミに決めた!」


 俺は店に「俺が痴児だ!」と電話をかけてLegendクラスのアイリちゃんを予約して意気揚々とお店に入った。個室の待合室はないとぬかす男性店員との面倒な会話を経て待つこと20分、呼び出されてエレベーターに入ると指名したアイリちゃんとの対面だ。


「ええぇっ、本物だぁ! 初めまして、アイリです」と笑顔で挨拶してくるアイリちゃん。どうやら俺様のことは知っているらしい、政治経済のニュース程度には触れているということか。現役女子大生とプロフィールに書いてあったが、遊び金が欲しいだけの阿呆学生という訳でもないのか。


 エレベーターを出ると手を繋いで廊下を歩き浴室に通される。俺がソファに腰かけると彼女はソファに座らず、床にひざまずいて三つ指を立てて頭を下げ、改めて俺に挨拶する。


「この度はご指名頂き誠にありがとうございます。アイリと申します」


 そう告げると面を上げて微笑んでみせる。いいじゃないか。こんなに俺様に相応しい挨拶はない。明日から県庁でも採用したいくらいだ。そう思っていると「ではお召し物を失礼いたします」と言ってスラックスを下ろしていく。次に勝負下着であるカルヴァン・クラインのボクサーブリーフを下ろした瞬間。


「あっ……」※1


 俺の「男性」を見た彼女の声が小さく漏れた。なんだ、そんなに俺様は立派だったのか。今日は早朝に全剃りしてきたから体全体の逞しさ、美しさも更に際立っているだろう。喜べ、お前はこれから痴児に抱かれるんだ。俺の期待は膨らんだ。しかしいざ始まると――。


「(ギッシギッシギッシギッシギッシギッシ……)ハァハァハァハァ……(´Д`)」


「イっ、イっ、イっ、痛ッ……」


 なんだこの女、なんて声で鳴きやがる。「イっ」だと? 引き笑いするような口しやがって。しかも眼もきつく閉じてやがる。もっと俺様を見ろや。さっきは「本物だ!」とか言って笑っていたのに蓋を開ければこのザマか、この売女が。仮にもこいつは高級ソープ嬢なんだからプロ意識ってものがないとダメだろう。よし、俺様が適切な指導をしてやろう。


「アリサちゃん、キミはお客様から気持ちいいことをしてもらっているんだから、もっと気持ちよさそうな顔をしてお客様を喜ばせないとダメだよ」


「すみません……。……ないです。……いです」


「は? おま何言うてん?」


「気持ちよくないです。 痛いです」


「は? 痛い? 俺は痴児やぞ? 俺のが痛いわけないやろ! ようし、分かったわ。AV男優並みの激しいムーヴをかましたる! あれくらい激しく動けば気持ちいいやろ!?」


「ひっ、そんなん嫌や……痛い……」


「なに泣いてんねん! ああっ、もう冷めたわ! チェンジやチェンジ! 他のLegendクラス嬢連れて来いや! 俺は痴児やぞ!」


 そう俺様がいうとクソ嬢は内線で「お客様がチェンジをご希望です」と言って浴室から出て行った。次に来る嬢がだれか、スマホで待機中の嬢を確認しようとすると、クソ嬢が部屋を出てから10分と経っていないのに部屋をノックする音が聞こえた。仕切り直しのためにできる限りの笑顔で「どうぞー」と出迎えると――。


 なんと4、5人の男性店員が浴室になだれ込んで来た。男たちは一方的にサービスの終了を宣言して俺様を追い出したのだ。「俺は痴児やぞ!」と怒鳴りつけてもどこ吹く風と言った様子で、よくわからない店のNG行為とやらを説明してきやがる。何が「女の子が痛がる行為や暴言をするお客様は例え痴児様でいらっしゃろうが一切のご利用をお断りします」だ! 俺は気持ちいいことしかしていないし俺が痴児だという事実しか述べてない。


「クソ店が! 絶対に保健所検査で粗を探して潰したるわ!」そう俺は誓って店を後にしたのだった。


次回予告


 MTHK君の何がいけなかったのか、答え合わせ回。

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