第6章・会遇。

第36話 ヘルプ。

立て直しはとても大変だったが、社員全員が一丸となって立ち向かう。


どうしても菅野篤志とその取り巻き達の事件、中立を気取り、上手い事逃げていたメンバーは店に恨みを持ち、誹謗中傷を行なったり、悪い噂を流す。


中には市原黄汰と広島紫ができているなんて言う奴も出てきたが、それこそ2人とも徹底して隠していたので、根も葉もない噂として一蹴される。


ネットに流された菅野篤志のストライキにしても、本部でキチンと認めて、対処をしてプレスリリースを出して、誠実な対応をする。


それこそ、それをして損をするのは菅野篤志で、問題は嫌に確度が高く、菅野篤志の音声を入手した記者も居て、出所はあの鳥栖しかあり得なかったが、広島紫のプライバシーは守られていた。


市原黄汰はそれをトレーニングマニュアルに書く事と、トレーニングに座学の時間を増やす事で、新卒のトレーニングを想定した、トレーニング店舗の立て直しの中でも、何が起きたか、それこそ入社からの全てを簡潔にまとめて読み上げる。



第二の田所と悪名高くなる菅野篤志。

これは田所事件、菅野事件として長く語られるようになる。


田所覚のやらかした、未成年アルバイトに飲酒を勧めて、恋人同士になろうとしたり、菅野篤志のように、恋人ではなく、物品を用いて人心掌握を行い、店舗運営をしてしまおうとする行為。


それらの説明をして、それが元で起きたトラブルを全て公表する。


アルバイト達は眉唾物だと思ったり、自分はそうはならないと気を緩めてしまうが、そこは被害者の広島紫が居るからこそ、真実味が深まってアルバイト達は菅野篤志事件を信じた。


田所覚事件に関しては、共に働いた事はあるが、自分が働いた時はやらかした後だった広島紫は「最低な男よ」としか言えずに居た。



・・・



リニューアルオープン後の週末は人が足りない。

しかも店を休んでトレーニングに使ったのは1週間しかなく、アルバイト達の練度は低い。

大阪桃華と広島紫、市原黄汰と店長に新卒がいくらアテになってもヘルプを呼ぶ必要がある。

そうでなくとも、広島紫と店長達は、ホールもキッチンも両立させる必要がある。


エリア内の店舗でもヘルプが出せなくて、エリア外からヘルプを呼ぶと、どの店舗も人の欲しい土日にも関わらず数名のヘルプを用立ててくれた。


だがまあ来てみると、立場が微妙なベテラン達で、納得と言えば納得だった。

だが、広島紫からしたらありがたいメンバーで、誰も会った事はなかったが、皆広島紫を知っていて、キチンと仕事をするメンバーだった。


リニューアルオープンでクーポンも配れば客入りは上々、即満席になると、新人達がプチパニックになる。


ここでヘルプで来ていた連中が実力を発揮する。


「店長さんとトレーナーさんはキッチン行って、こっちは俺たちで回す。でもリーダーはあくまで大阪さんだよ。広島さんはホールを見る必要ないから、中でホールとキッチンを繋いで」


それはヘルプの岩渕剛いわぶち つよしで、「大阪さん、ドリンクは人2本、ウチの桃子原人と新人で回す。桃子原人は経験浅いけど土日ばっかり入ってて、根性だけはあるから、ガンガン無茶振りしていいよ」と言う。


そのまま「案内とセッティングとデザートは俺と新人3人で基本回す。お会計はヘルプの白城さんと1人、提供は残りの子達と白城さんメイン。白城さん頼める?」と聞けば白城蛍しらき ほたるは「OKだよ。皆、焦らないで、とにかくやる事はいくらでもあるから、指示待ちはしないんだよ。おかしかったら私と岩渕くんと大阪さんが言うからね。コミュニケーションだよ」と指示を出す。


市原黄汰はニコニコと「あらら、頼もしい子達だなぁ」と言っている中、「ヘルプで来た山形です」と混雑から30分遅れでヘルプがもう1人増える。


山形夢やまがた ゆめを見た越谷桃子こしがや ももこは小さく手を振って、岩渕剛は「お、山形さんじゃん!?山形さんがホールでもう1人増えるなら、広島さんがややキッチン寄りで提供補助、重たいものとか資材補充は俺がデザート入りながら回るから、今きた山形さんが案内とセッティングをメインで入って、そこの3人に指示だしよろしく」と言う。


リニューアルとクーポンがあったとはいえ、トレーニング店舗では過去最高の売り上げが出てしまう。

それは、機能したヘルプの力が大きかった。


リーダーなんて言われて、ある程度任されていても誘導されていて、ミスが出ないようにフォローされている自覚のあった大阪桃華は未熟さに落ち込む所だが、その前に白城蛍から「リーダー凄いね。混んでても基本に忠実だから、初めての店でもやりやすかったよ」と褒められて、山形夢からも「本当、うちのバイトリーダーとは大違い」と言われ、岩渕剛からも「社員みたいな指示出しするよな。大阪さんって本当にアルバイトなの?」と褒められていた。

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