第31話 公開説教。
1時間も経つ頃には、さまざまな店舗の様々な社員達が集まり、ある種究極のバイト0人店舗になってしまう。
集まった社員達はあの市原黄汰がブチギレなされていることで、普段以上にキビキビと動き、どれだけ客が来ても物理的に待つ以外は待たせることすらなかった。
市原黄汰は集まった社員達に「無理をしろなんて言わない。ノークレームは当然だからね?当たり前の働きをするんだよ」と恐ろしい声で言うと、裏に行き、事の経緯をもう一度確認する。
開始10秒で事なかれ店長とエリアマネージャーは逃げ出したくなる。
直近2ヶ月のスケジュールを見て、ほぼ全ての時間で広島紫に菅野篤志を押し付けて事なかれ店長は伸び伸びと暮らしていた。
「これは何ですか?」
「え…、あの…、広島君からは何も報告はない…」
事なかれ店長は、この期に及んで広島紫のせいにして逃げようとしていて、市原黄汰が事なかれ店長の顔と休憩室、店全体を指さしながら、「ならその目玉は何だ!?この異常さもわからないのに店長なんてやってんのか!」と怒鳴りつせると、エリアマネージャーに「エリマネ?これはどういう事?」と問い詰める。
真っ白なエリアマネージャーは「え、店長から順調、問題なしって報告を貰ってまして…」と返して、「見にも来ないで何が問題なしだ!何で見に来ない!?バイトテロが自エリアで起きたんだぞ!その店から来た菅野篤志もいるんだぞ!!」と怒鳴られる。
「それは、ずっとあっちの店に入り詰めていて…」なんて言っても無理な話で、「お前はこの2ヶ月何日休んだ!?言ってみろ!8日だ8日!休みの日に見にくる事くらい出来たろうが!昔と違い、残業代だって申請したらキチンと払ってるだろうが!帰りに寄り道くらいしろ!」と言われるし、怒鳴り散らす市原黄汰は、上の者が率先して働かないとと言って、2ヶ月間休みなし。しかも早朝から深夜まで、誰も何も言えやしない。
その間も続々と社員は集まり、集まる度にバイト達には「時給は払うから、話を聞くまでここにいてください」と言われて、店に出ることもさせずに、ひたすら裏で公開説教を見させられる。
増える社員は菅野篤志を怨敵のように扱うが、この事態の原因を聞くと、更に侮蔑と怒りの眼差しを向けていく。
「広島さん、何があったか包み隠さず話してください」
まだ広島紫や無関係な人たちの前では、語調が柔らかくなる市原黄汰だが、それがまた恐怖を助長させていく。
初めから格下扱いで、言う事を聞かない事をバラされて、この日を見越して中立だったアルバイト達が「その通りです」と返事をする。
そして半月後の宴会。
鬼の形相で睨む市原黄汰と、怒られる立場なのに睨むエリアマネージャー。
今回の件で散々通達も出して、社員とアルバイトの適切な距離を考えるように言っていた本部の人間達も、鬼のような顔で事なかれ店長と菅野篤志、後は菅野篤志の宴会に招かれたアルバイト達を睨みつけた。
「広島さん、君はどうしたんですか?」
「止めました。でも自費で行っているからと言われて返せませんでした」
「店長には?」
「報告はしました。でも…」
広島紫は躊躇したのではなく、続ける前に市原黄汰は「でも?」と言って事なかれ店長を睨む。
縮こまる店長を見ながら、「売り上げになるからと不問に…」と広島紫が言うと、落胆のため息が周りからコレでもかと出てくる。
そしてエリアマネージャーもため息を吐いていて、「君、ため息を吐ける立場かな?」と市原黄汰に睨まれていた。
・・・
もうお腹いっぱいだった。
だがまだ半月、後ひと月半も残っている。
「続けてください」の声で、広島紫は日付まで出して、「この日、菅野くんは取り巻きのアルバイト達とストライキを起こしました」と言う。
これまで以上のどよめきの中、「詳しく」と言った市原黄汰は怒りに震えている。
人が大量に集まり、暑いはずの室内が寒く感じてしまう中、声を出しにくい中、必死に広島紫は「菅野くんに歯向かうなら、取り巻きのアルバイト達がストライキをすると、その場は1人でキッチンとホールを回しましたが…」と続ける。
「回したが?」
「お客様に迷惑はかけられないので、菅野くんと取り巻きのアルバイト達がする事を、不問にする事にしました」
市原黄汰は彼氏の立場も忘れて、「何故その時に言わない!本部が大変で、他店舗のバイトテロの立て直し中だとしても、これはそれ以上のバイトテロだ!さっきも言ったが君の我慢で回るほど店は甘くない!」と声を荒げると、店長には「それなのに翌月も自分は菅野から逃げて、全てを広島さんに押し付けたのか!?」、エリアマネージャーには「各店舗の勤務状況の確認もしなかったのか!?」と怒鳴りつけた。
返す言葉もない。
それなのに、事なかれ店長は「広島が言えば」、エリアマネージャーは「店長が言えば」と逃げを打ち、更なる反感と怒りを買う。
周りの社員が「市原さん、続きを聞きましょう」と言って止めると、市原黄汰は辛うじて耐えて続きを聞く。
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