この子がとにかくうるさい!

@noritaka1103

第1話 動くの!?

高校を卒業して、就職先近くのアパートに引っ越す為に、自分の部屋を片付ける。


そして、一匹のぬいぐるみに目が入る。

「ボクが生まれた時に親が買ってくれたぬいぐるみ…小さい頃は一緒に寝たりしていたなあ…」


ピクッ!

そのぬいぐるみがほんの一瞬だけ動いたように見えた。まあ、見間違えだろう。


ピクッ!ピクピクッ!

「み、見間違えじゃない!この子なんか動いてないか!?」

心で呟いたつもりが、驚いた拍子で叫んでしまった。


すると、ぬいぐるみはこちらに方向転換をし、ワーッと両手を広げて突進して抱きついてくる。

といっても、所詮は「ぬいぐるみ」で、尚且つサイズも小さいのでダメージはほぼ無かった。痛いくらい。


「母さん!この子って動くんだね!今まで知らなかったよ!」と今起きていることをそのまま、母に報告するも「え!?その子、普通のぬいぐるみよ?お父さんが奮発して買ってくれたヤツ。動くわけないでしょ?寝ぼけてるの?」と動くことをキッパリと否定。 


冷静に考えれば「普通のぬいぐるみ」が動くなんてあり得ない。けれど、現にこの子が両手を広げて抱きついてきた。今も「ワシャワシャ」とボクの顔を弄る。たまにつねるので、さすがにその時は痛い。




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