第5詩 【野良犬】
や、また会ったね
君とは良く会うようだけれど
今度もかなり偶然の一致
僕は椰子の木の袂(たもと)に座っていて
何気なく横を見ると
君の鼻がそこにあった
僕は、驚いた
それからというもの
君は影のように
あるいは親しい友のように
また、一途な嫁さんのように
僕に寄り添っている
それを見ると
ある人は君の犬かいと尋ねるし
またある人は
僕の友達かいと聞いてきた
そうとも、ぼくはうかつでした
君は友であったのだ
犬であって
友であって
僕は、そのあまりに自然な現象に
気づかなかった
君も僕もひと言も喋らず話もせずに
いつの間にか手を握っていたのだ
ああ、ささやかな友達よ
ある時、君は見ていた
夕日がきれいに地上を
覆(おお)っていくのを
それを静かに
椰子の木の袂(たもと)で見ている僕を
その手に握られているバナナを
僕は明日、同じような夕日の中で
君にささやかな贈り物をする
月夜の晩なんかにさ
君がしみじみ僕を思い出してくれるように
バナナをね
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