三田崎慎吾について?【3】
「いやだ……死にたくないっ」
過去を悔いても、仕方がないのはわかっている。それでも、
「なんで! なんで……ッ! なんで、オレは……!!」
■を犠牲にして、みっともなく生にしがみついた結果がこの有様。これでは、オレのために死んでくれた■も浮かばれない。
「なにか、何かあるはずだ! 助かる方法が、何か……!!」
オレだって、今まで無駄に歳を重ねてきたわけじゃない。考えろ、考えろ、考えろ――ッ!
「……もしかしたら」
子供騙しかもしれないが、この方法なら助かるかもしれない!
しかし、それを家でやるのはまずい。あいつに見つかったら、お終いだ。オレは祈りながら、明日の時間割を見た。
「っしゃあ!」
オレがそう喜んだ時だった。
「――おい」
声がした。あいつがきた。見えない。見えないが、あいつがここにいる。この部屋にいる。迂闊だった。どうしよう。死にたくない。オレはバカだ。あいつが音に敏感なことを忘れていた。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
§
6月13日の木曜日5時間目の美術の授業中、手指の絵を描いている男子がいた。名前は
とても好きでした。好き好き好きすきすき。好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好きすきすきすき。
それなのに。なのに、絵が完成することは終ぞありませんでした。その絵を描いていた男の子が死んでしまったからです。死因は確か――あれ、なんでしたっけ? 忘れてしまいました。わたしは、自分の夢を叶えることが不可能になり、とても悲しい気持ちになりました。でも、その後思いついたんです。
誰か。だれか、この絵を完成させてくれませんか。お願いです。なんでもします。わたしは、わたしたちは2年B組三田崎慎吾の後継者を探しています。
――三田崎、慎吾?
ああ、すみません。
わたしとしたことが大事な人のお名前を間違えてしまいました。もう一度書きますね。
誰か。だれか、この絵を完成させてくれませんか。お願いです。なんでもします。わたしは、わたしたちは三田崎
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます