スライムに転生した俺は暗黒大陸を質量でブチ壊す
真子たまご
第一話:スライムへの転生
バイトへ行く気は起きない。就活も何すればいいのかわからない。ゲームだけして時間を浪費する。
そんな時だった。限界大学生の俺に、幸か不幸か、人生?を一発逆転する機会が与えられたのは。
朝起きて、寝不足による頭痛を感じながら、眠たいまなこを擦ると、見えるはずもない幻覚が現れたのだ。その幻覚は、天使の形をとっていた。
「あなたは見込みがあります。つきましては、あなたを異世界『ユーフォガルド』へと転生させます」
俺が何かを言う間もないままに、俺の視界は闇に呑まれていった。
ハッ。ここは…?
意識が覚醒した瞬間、暗闇の中に自分が浮かんでいるような、そんな非現実的な感覚を覚える。
そして、自分が先ほどまで見ていた幻覚が、どうやら幻覚ではないことを理解する。
「四肢が動かない」と言うべきか、いや、もはや感覚として、自分の体に手足が生えているという感じすらしないのだ。
どうにもこれは尋常のことではない。
そう思って、必死に体を動かそうと努力する。
そうして体を震わせること、十数秒。ゴトリ、と頭上で振動を感じ取り、僅かにできた隙間から光を感じた。
自分の体に、何かが蓋をしている。そう理解してからは早い。僅かにできたその隙間から、シュルシュルと体を通して、外へと飛び出した。
『『グギャァアアアア!!!!』』
爆音と共に、バサバサと巨大な鳥の群れが飛んでいった。陽の光は眩しく、容赦なくこの身を照りつけてくる。
石…か?
自らが出てきた場所を見る。先ほどまでいた空間は、どうやら石の下にある、小さな窪みであったらしい。
天使さんよ…もしかしてだけど。『ユーフォガルド』だかなんだか知らないが…。もしかしなくても…。おれ、人間に転生してねぇな?
周囲を見渡すと、山脈のような大きさの蛇や、空島のような亀。そして、マッターホルンのような絶壁を彷彿とさせる蟹が歩いているのが遠目でも分かる。
なんだこの暗黒大陸レベル100みたいな場所は…
おれは絶望感を感じながら、近くに見えた泉に顔を近づける。水色っぽいゼリー状の体に、ぱっちりとした黄色いお目目がくりんと二つ付いた、それはそれは可愛らしいスライムがそこには居た。
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