Page6 ふわふわで、さらさらなかえでの髪
「……ね。こうしてると、なんだかわたしたち夫婦みたいだね」
「ブフッ!」
突然のかえでの爆弾発言に、俺は盛大にお茶を吹く。
「わわ! ちょ、だいじょうぶ?」
「ゴホッ……ゴホッ……。だ、大丈夫だ」
突然なにを言い出すんだ。
ティッシュペーパーを数枚取りつつ、隣の発言主に顔を向ける。
かえでは、こちらを心配するように見せかけて、どこかしてやったりな表情が隠しきれていない。その証拠に、口角がわずかに上がっている。
……確信犯か。
「ったく。お前なぁ……」
「えへへ。ごめんなさーい」
そんなかえでの謝罪には誠意なんて一切こもってなくて、その代わりに、とてもかわいらしい笑みを浮かべていた。
……まあ? 俺も似たようなこと思ったわけだし? 決してそんなに遠くない未来で、こうして二人で寄り添ってお茶を飲む光景を想像しなかったわけじゃないし? そもそも、時々「夫婦みたいだ」なんて言われてからかわれているけど、それがいやってわけじゃなくて、そう言われてもやぶさかではないというかなんというか……。
…………うん。
いくら心の中とはいえ、こんなことを俺がやってるとキモいだけだな……。
とにかく。
「はぁー……。もういいよ」
元から怒っていたわけではないけど、そう言ってかえでの頭を撫でる。
ふにゃり、とだらしない笑みを浮かべて、「もっともっと」といわんばかりに頭を擦りつけてくる。
ふわふわで、さらさらなかえでの髪。
俺はこうして、かえでの頭を撫でるのが子どもの頃から好きだったりする。
ちなみに、以前聞いたのだが、こうして頭を撫でることを許しているのは、家族以外だと俺だけなのだそう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます