第48話 再びダンジョンRTA
■沖永良部島 大樹ダンジョン 風の渓谷
急いでセーフエリアを出ると、再び大樹の外に出た。大きな幹を太いツタが足場のように伸びているので駆けて登っていく。
ドドンという音と共に衝撃が走り、体が揺れる。
「マジで米軍がミサイルを撃っているのか?」
「そのようですわ。わたくしの方にもガメリア本国からの連絡が来ております」
迷宮令嬢が横に並走しつつ話かけて来た。
早く動けるトップ層が最上階を目指す方針で進んでいる。
俺と、織香と迷宮令嬢の3人だ。
小松原三佐も動けなくはないのだが、状況次第では撤退の指示もあるのでトーコを預けている。
トーコが役に立たないというわけではなく、何かあったときの撤退援護のためだ。
(まぁ……あんなことをしたので、責任を感じてもいるんだが……)
誰にいうことでもないので、心の中に止めておく。
問題は暗い顔をしているスメラギの方だ。
「大丈夫か? 顔色がよくないぞ」
迫ってくる風を起こすドラゴン、ストームドラゴンを起こした風をスコップではじき返しながら訪ねる。
周囲の風景が電車の窓でみるようにどんどん後ろへと流れていき、目の前に出てくる敵を片っ端から倒していった。
じっと止まって聞きたいところだが、米軍からのミサイル攻撃が落ち着く様子はない。
襲い来る敵にダンジョンが揺れる振動、風の刃が飛び出す外壁トラップ等、障害が多数あって困った。
「あの……サグル様!」
「伏せろ!」
俺は何かを言おうとしたスメラギの頭を掴んで床に下ろす。
俺の頭上を突風が通り過ぎて、ヘルメットが吹き飛んだ。
島の風景に吸い込まれるようにヘルメットは小さくなっていき、消える。
「あれを受けたら、落下で即死だな」
「VITが高ければいきられるかもしれませんわよ?」
「俺はそこそこだが、スメラギはAGI型だろ」
「そうですわね……」
「二人とも、大丈夫ですか?」
離れていて、突風をよけた織香が俺達の方へ近づいてきた。
「問題ないが今の突風は……」
「はい、ボスですね。竜巻でできたゴーレムなんでしょうか? コアが見えますから……」
織香が見る先には踊り場のように広い足場があり、巨大な竜巻の中に赤い丸いものが浮かんだ存在が陣取っている。
竜巻には小さな風の渦で手の様なものができているので、織香がいうのはあっていた。
「そのよう……だな」
本当は
なぜ、トーコと同じスキルを持っているのを説明するのは避けたかった。
いや、本当に細かく詰め寄られて全部話すことになったら、織香も、スメラギも冷たい目を向けそうである。
間違いない。
「早く倒しましょう、ボスもあと2体でダンジョン攻略ですわね」
「そうだな、ダンジョンコアを手に入れてダンジョンを制御化に置ければワイバーン問題とかの騒動も片付くだろう。米軍も撤退してくれるだろうしな」
俺はスメラギの言葉に同意し、トルネードゴーレムをさっさと倒すべく一気に間合いを詰めた。
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