第41話 フライはフライでも食べられないフライはなーんだ
■沖永良部島 大樹ダンジョン 第2セーフエリア
次のセーフエリアまで一気にかけてこれた。
先ほど仮眠をするにはしたが、強行軍はまだまだ続く。
全階層が見えないので、あまりゆっくりしていられないのだ。
「まったく……むぐむぐ……階層が……むぐむぐ……わからないのは……ごくん、つらいな」
「本当にモンスターを食べられるのですのね」
「ワタシ達はこの光景慣れたけどね~」
「ですよねっ」
俺がドラゴンフライを食べているのを見たスメラギが若干引き気味の笑顔で感想を述べる。
以前は同じ反応をしていた織香も、トーコも見慣れたようで、平然としていた。
慣れてくれて何よりだ。
「生は飽きるから、時間があればドラゴンフライだけに揚げ物にして食べたかったんだがな」
『サグル~ドラゴンフライのフライは揚げ物じゃなくて、飛行の方だぞー』
イカルからのツッコミが瞬時に飛んできて、微妙な空気が流れる。
〔ドラゴンフライの摂取を確認。〈飛行〉レベル1を入手しました〕
「お、どうやら飛行できるようになったらしい……こうか? 〈飛行〉!」
俺が意識をすると背中からトンボの羽が背中に生えて、ブルブルブルと震えると体が浮いた。
軽くセーフエリアで飛行訓練をした後、着地した。
「暮明さんの
「半面、人間をやめている気になりますがね」
着地したところを見ていた小松原三佐が近づいてきて、能力のすごさを素直に褒めてくれる。
悪い気はしないが、ちょっとおっかないので変な敬語で話してしまう。
「私の
「ボスがいたり、セーフエリアがあるけれど階層が分かれている感じはしてなかったので気にはなってましたが階層情報としては50階層の作りになっているんですね」
「はい、その通りですね。ゴールが見えたので、一気に行きましょう。出発準備をしてください」
「了解です」
小松原三佐のユニークスキルのも凄そうだ。ダンジョンに潜るだけで構造が理解できるが奥まで潜らないと全容がわからないのだろう。
三佐なんてかなり偉いほうなのに今回の調査隊のリーダーになって、前線にいる理由がよく分かった。
「暮明さんは飛行の練習をしつつ上空の敵の排除と上空からの警戒を頼みます」
「りょ、了解です」
だが、人使いがかなり荒いのはやっぱり自衛隊の人間なんだと思う。
◇ ◇ ◇
俺は自分のパーティの方へ戻るとスメラギがやってきた。
「空が飛べるなんて素敵ですわね。〈飛行〉のスキルカードが手に入りましたら、わたくしにプレゼントしてくれません?」
しなを作りながらすり寄ってきて甘えてくる。
この技でどれほどの男が落とされてきたのか、考えるまでもない。
なぜならば、スメラギの部下の男二人からの視線が痛いのだ。
「悪いが、同じパーティでないと都合はしてやれん。自分のパーティで頑張ってくれ」
「あら、今は同じパーティのようじゃございません?」
「正式メンバーじゃなきゃダメなんですー!」
ズズイっと寄ってくるスメラギを離すように俺とスメラギの間に織香が割り込んでくる。
いや、正式メンバーになる前にトーコへスキルカードを渡していたんだが、ここでいうと面倒なので黙ることにした。
やれやれ騒がしいな……。
『ぐぐぐぐ、サグルが僕ちゃんよりイチャイチャしているなんてっ!』
「それならお前もこっちに来るか?」
『それは断る』
イカルとの会話の方が和む俺だった。
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