2話 盗まれたバイクと時間怪盗 幕間

 夜の郊外である。二十四時間営業のコンビニは明かりを放つも夜の暗さは深い。街灯もまばらになってきている。家々の中から覗く明かりも少ない時刻だ。


「少年、何処へ行く?似合わないバイクに乗って」


 それは闇の中から現れ、車道に立ちバイクの進路を塞いだ。

 バイクのヘッドライトがその姿を照らす。瘦せぎすの男だ。

 茶色の髪は癖が強く、赤く輝く眼鏡をかけている。そして白いシャツの上に白衣を羽織っている。


「何処かに行く」


 少年は目指す場所を持たなかった。ただ自分の人生について親が引いたレールに嫌気が差して飛び出したのだ。


「なるほどなるほど。ではワタシはキミに何処かへ行く力を与えよう」


 男は白衣のパケットから赤いレンズを取り出し少年の眼に押し付けた。

 

「ああああああああ!」


 少年は悲鳴を上げる。レンズの力で時間怪盗に身体が変身する苦痛を味わっているのだ。当然だろう。


はタイムレンズを与える相手の性別年齢を指定しなかった。ワタシは幅広いデータを得られるように様々な人間を時間怪盗にしよう」


 男は少年がバイクを融合し、時間怪盗と化すを見届けるとまた夜の闇の中に消えた。


「その力は好きに使うと良い。だが、定期的にワタシが現れ時間を納めてもらう。忘れるな。時間は有限であることを」

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