目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—

SUGISHITA Shinya

001 コシから新大陸に向かいステファニーさんとマリアさんの故国の跡地を目指す

 神国からエチゼンヤ支店のあるコシの街へドラちゃんに乗って向かう。

 コシへはこっそり入ることにする。ドラゴンが飛んできたと騒がせてはいけないからね。

 コシの近くになったので下から見えないようにして、コシの街の上空へ。エチゼンヤ支店の奥にドラちゃんに乗っている人と一緒に転移する。

 結構な人数だ。僕、アカ、ジェナ、ステファニーさん、マリアさん、ブランコ、エスポーサ、ドラちゃん、ドラニちゃん、観察ちゃん。エチゼンヤさんは、エリザベスさん、セドリック執事長、アンナ侍女長、バントーさん、イツカリ板長だ。

 ドラちゃんは上空で小さくなって転移して来た。コシの街の人たちは気づかないだろう。


 エチゼンヤさんが僕たちのために確保してくれているスペースにスパ棟を出す。

 まずはみんなで屋敷に行った。

 応接室でお茶だ。


 「最初にローコーさんと会って、こちらに伺った時もこの応接室でしたね。懐かしいですね」

 「ほんとに。もう随分前のような気がしますが、よく考えるとそんなに時が過ぎていませんね」

 マリアさんが応えてくれた。

 「最初は中年の方だったですね。若ければドンピシャと思った」

 ぶたれた。

 エリザベスさんが笑っている。


 「ローコーさんとは良い出会いでした。お陰様で今まで楽しく過ごせました」

 「こちらこそ色々お手伝いをいただいて、塩も見つけていただき、商業組合が儲かり過ぎて悩んでいるみたいですよ。シン様の口座も未だかつてない残高になっていて組合長が数字を眺めて青くなっているようです。少しぐらいお金を引き出してもらってもなんの足しにもならないと嘆いています」

 ひとしきり話をしていたらアンナさんが夕食と呼びに来た。

 お狐さんが転移して来た。知っている人たちだから安心したみたいだ。四本の尻尾を振っている。


 僕、アカ、ジェナ、お狐さん、ステファニーさん、マリアさん、ブランコ、エスポーサ、ドラちゃん、ドラニちゃん、観察ちゃん、エリザベスさん、セドリック執事長、アンナ侍女長、バントーさん、イツカリ板長さんで夕食だ。

 気が置けない人たちなので、話は弾んだ。


 夕食が終わってスパ棟に引き上げるとエリザベスさん達もゾロゾロとついてくる。

 ジェットバスとかサウナとか岩盤浴とか言っている。そうですか。他にはないですからね。

 僕らと夕食のメンバーがお風呂から出ると次々とエチゼンヤの従業員がやってくる。どうぞどうぞだ。僕らは夕食のメンバーと話の続き。従業員が一回りスパを楽しんだので、みんな引き上げた。エリザベスさんを残して。

 じゃおやすみといってエリザベスさんはスパ棟の自分の部屋に引きあげた。僕らは寝室だ。


 翌日朝食を屋敷で一緒にして出発だ。スパ棟を収納。お狐さんはイヅル国に戻って行った。エスポーサは人化した。

 エチゼンヤさんの馬車に乗り込んで、セドリックさんとアンナさんと若い店員が御者となって嘆きの丘へ。御者が多いが。マリアさんの家臣の墓参りをして、巨木に挨拶した。


 ドラちゃんが大きくなってみんな乗り込む。

 「それじゃ行って来ます」

 隣の大陸に向け出発だ。セドリックさんが見送ってくれる。

 エリザベスさんとアンナさんが乗っているが。多分、マリアさんとステファニーさんの故郷を見たいのだろう。そしたら帰るに違いない。うん。


 海上に出た。遠くに見えていた大陸がどんどん大きくなる。一応新大陸と呼ぼう。

 僕らが最初新大陸に来た時見つけた岬にある碑のそばに着陸。マリアさんがエリザベスさんとアンナさんに説明してくれた。マリアさん達が船出して、ついていけなかった人達の後悔と、マリアさん達の幸せを祈って建てた碑だ。

 話を聞いてみんな手を合わせている。


 少し下ると集落の人達の墓がある高台につく。二百人衆が住んでいた集落が見える。お墓に花を供えた。マリアさんとステファニーさんが墓石に刻まれた名前をなぞっている。

 墓参りが済んで集落に行ってみた。人の住まなくなった家は自然に帰るのが早い。まともな家はもうなかった。


 ここからは地上からマリアさんとステファニーさんの両親、王様と王妃様の最後の地へ向かおう。集落に一礼して森に分け入る。

 ブランコがジェナを抱っこしたエスポーサを乗せて尻尾を振って先頭に立って進む。半日歩いたが森が続くだけで何もない。


 「シン様、何もないよ」

 偵察に出ていたドラちゃんとドラニちゃんが戻ってきた。

 魔物がいるのはわかるけど近づいてこない。


 少し広いところにシートを敷いて昼食にした。ジェナは食後ブランコに包まれて昼寝だ。

 ジェナの昼寝が終わってから出発。森の中だからなかなか進まない。ほんとに何もないね。人が住んでいた痕跡がない。小さな国で城壁で囲まれた王都と小さな村があったくらいなのかもしれない。


 夕方になってやや登り坂になった。峠がある山脈に着いたのだろう。シャワー棟を出して、テントを張って夕食にした。エリザベスさんとマリアさんも自分たちでテントを張った。夕食は一緒だ。

 良く歩いたからすぐテントで休むことにした。お狐さんが来た。山の中と言っている。イヅル国の子どもの話を聞いてみんなで就寝。


 朝食はもちろん全員で食べた。今日は峠道を探して登ろう。

 シャワー棟、テントを収納して、峠道を探す。なかなか見つからなかったが、観察ちゃんが峠の上の墓からして、この辺と言うから探したらいくらか木の生育が悪いところがあった。峠道だったのだろう。良く見ると平らな道路跡が山を登っていく。いままで森を歩いてきた中で唯一の人がいた痕跡だ。

 ブランコを先頭に道路跡をたどっていく。途中で道路跡が途切れた。追撃してくる敵から国民を守るため国王夫妻が自らの魔力を全開放して峠を破壊した跡だ。そのまま登っていく。国王夫妻の墓、王族の墓、国民の墓、鎮魂碑があるブランコが平らにした頂上に出た。


 みんなでお墓と鎮魂碑に花を供えてお参りした。花は神国から持ってきた。たくさん咲いているから切り花にしても問題ない。今は各家庭にも花が活けてあるし、宿舎の周りにも花壇が出来ている。

 ここで休憩にしよう。


あとがき:明日から12時公開予定です。

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2024年10月10日 12:00
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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編— SUGISHITA Shinya @MarzJP

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