覆面を被った切田くんと、メイドさんの話

 迷宮都市を王都としていだくこの国では、様々さまざまな貴族階級の人間が幅を利かせている。


 圧倒的であった『狂王』の武威と『神代の迷宮』の資源によって、この国は長年、幾多いくたの戦争を勝ち進み続けてきた。――しかしながら、周辺諸国との小競り合いや辺境伯の離反など、『迷宮都市』より遠く離れた区域まではその管理を行き届かせることが出来ておらず、……怠惰たいだ安寧あんねい。結果的には小国の規模に収まってしまっている。


 繰り返される戦争や政略的血縁拡張の果てに、貴族の数は膨れ上がっており、――小さな国土をいくら細分化しても、全ての貴族家へと領地を分け与えるにはとても足りない。宮廷闘争による間引き(殺害、追放、幽閉など)とて限界があった。


 そこで領地を持たない貴族たちは、自らの教育や武力によって、政務や司法、軍部の要職などへと在籍し、その恩給をもって貴族家を立ち行かせることとなる。(「所領もなしに貴族なぞ…」「…しっ、聞こえるぞ」)しかし、そのポストさえ数は限られてくる。


 結局、やり手や陰謀に長けた者のみが地位や権威を独占するようになり、――その付随ふずいする権力を守ろうと、貴族たちは暗躍を繰り返すこととなった。


 いつしか社交界は秘密主義に彩られ、退廃と欲望は一部の上位貴族にのみ独占されて、下級貴族たちがその恩恵を預かることはない。



「貴族って最高ね」


 王立総合魔術研究所特別顧問、パンデモーヌ伯爵。金髪碧眼の整った顔立ちをした、壮年の男性だ。


たみと国とに筋さえ通せば、国民のお金を使って好きな事ができる」


「人が人らしく生きる為には貴族であるしかない。すなわち、貴族にあらずんば人にあらず」


「要は、皆様方も貴族をすればいいじゃない。そう言いたいのだけど。何でみんなやらないのかしらね?不思議ねぇ」


 極めて派手で豪奢ごうしゃな格好をしているが、本人の印象はスマートだ。その絢爛けんらんさが彼には不思議とよく似合っていた。


 領地貴族ではあるが研究が趣味であり、宮廷貴族の特殊な枠を潰してまで(「五月蝿うるさい。バーカ」「…ググ…」)研究所の特別顧問におさまっている。――しかし、研究者としては極めて優秀で、いくつかの分野で目覚ましい成果を上げて、国益に多大な貢献を成している。


 だが彼は、正常な男性にあるまじき、少々おかしな喋り方をする。


 そんな彼に眉をひそめたり馬鹿にするものもいたが、その手の悪意は決して表に出てくることはない。



「顧問どの!パンデモーヌ伯!」



 研究所の二階。伯爵の執務室に、バタバタと痩せた男が駆け込んできた。王立総合魔術研究所の副所長だ。


 パンデモーヌ伯は執務机に陣取り、片目にモノクルをはめて書き物を続けている。副所長が飛び込んできても一切いっさい動じず、書類から目を話すこともない。(邪魔ねぇ…)興味など一切いっさいなさそうだ。


「…なによ、騒がしいわね。宰相閣下になにかあったの?」


 慌てる副所長など気にもとめない、そっけない答え。

 先程この国の宰相が研究所を訪れ、慇懃いんぎんなやり取りをしたばかり。面倒は御免とばかりに挨拶を終えて、書き物を再開していたのだ。


「…っ!そうです!宰相マイユール公が襲撃を受け、死亡しました!!」



「…なんですって?」勢いよく顔を上げ、ガタンと椅子を倒しながら、パンデモーヌ伯は立ち上がった。



 パンデモーヌ伯は趣味に生きる人間で、派閥や権力争いにはあまり興味がない。

 だが宰相とは綿密な繋がりを持っており、事実周りからは宰相派と見られていた。


「召喚勇者の暴走です!召喚設備実験室は全滅!宰相閣下も客人らも、所長もろとも惨殺されました!」


 本当に深くため息をつく。座ろうとしたが椅子がなく、中腰で手探りをした。


 無い。


 悔しそうに振り返り、倒れた椅子を乱暴に引き起こしてドッカリと座った。


「暴走勇者は一名を処理するも一名は逃亡、一名はなおも戦闘を継続中です!」


「衛兵隊と近衛軍への連絡は?」


「正門で勇者が交戦中!裏に回しましたが手戻りで遅れております!」


「…しょうがないわね。【ブレインウォッシュ洗脳】は?」


「付与術式にミスなどありません!処理した勇者の魔力痕跡を調べたところ、正常に付与され、その後解除されておりました!決して我々の落ち度では…」



「…へぇ?」



 興味深げに目線を向ける。……そして、冷たく指示を出す。


「…現時点を以て召喚勇者プロジェクトは一時凍結。生き残った研究員はすべて拘束なさい」


 副所長は困った顔で答える。「…全員死亡した模様です」


「非番の人間をよ。宰相の監査を狙って暴走が起きるだなんて、仕込みに決まっているじゃない。死んだ研究員たちの身辺も、おかしなつながりがあったかどうか精査なさい。……行って」


「は、はい!直ちに!」あわててきびすを返す副所長。その刹那、



「ああそうだ」パンデモーヌ伯は、ニヤァ…と張り付いた笑いを浮かべ、良いアイディアがあるとばかりに手を叩いた。


「わたしも行くわ。勇者の死体、調べたいもの」



 去り際を引き止められた副所長は、迷惑さを隠しきれずに振り返る。


「まだ危険ですよ、顧問どの」


「あらやだ。もちろん兵を連れて行くわよ。ちょっとー!だれかー!?」


「…皆出払っておりますので…顧問どの…どうかひとつ…お立場を…」副所長は胃のあたりに手を当てながら、苦しげに言葉を絞り出している。


 面白くもなさそうに、ドッカと腰掛け直す。そしてヒラヒラと、さっさと居ねと手で副所長を追い払った。


「…んもう、不用心ね!じゃあさっさと行きなさい!ほら、早く早く!」



 ◇



 ヨロヨロと出ていく副所長を眺めながら、パンデモーヌ伯は行儀悪く椅子をかたむけ胸の前で手を組んで、親指をくるくる回す手遊びをする。


 ドアが、パタンと閉まった。


 しばらくじっと手遊びを続けていたパンデモーヌ伯はうつむき、笑う。


「…くっふ…」


「…ぷふふ…」



 笑う。



「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」



 目を見開き、つばを撒き散らしながら彼は笑った。


「ヒャハハッ…イヒッ…フフフフゥー…はふぅ…馬鹿ねえ!ほんと馬鹿!ぷふふ」


「めちゃくちゃになる!アハハハハ!!あーあ。やっちゃったわねえ、利権屋の皆さん!…これで国内外が激しく動くわね。ああもう、せっかくの楽しい研究生活だったのに。これで台無しよ」


「ぷふっ…マイユール公が抑え込んでいた私のやりよう。あらあらあら、今は抑えるかたがいらっしゃらないわね?…つまり私は、これからは好き放題してもいいということかしらね?」


「まぁ~まぁ。それは大変」パンデモーヌ伯爵は顔を整え、誰もが微笑み返したくなる笑顔でニッコリと笑った。


「とおっても、忙しくなりそうね。『パトリオッタ』!だれか居る?」



「…ここに」



 女性の声が響く。……声は部屋を不気味に反響し、どこから聞こえてくるのか定かではない。


「『二番』、控えております」


「状況を」


「…事象インシデント発生は召喚成功直後。『聖女』が強化支援スキルで実験室の強化増幅反響壁を破り、続いて『賢者』が強力な【マジックボルト魔法弾】系魔法によって、護衛の魔術兵ごと部屋を掃討。その後、二手に分かれて逃亡した模様です。…マイユール公の頭部は完全に破壊されております。ひとり取り残された『勇者』は処理済みですが、すでに再生が始まっている模様」


「ふぅん?…あらあら。呼ばれたばかりでずいぶんと仲の良いこと」


「犠牲となった方々は宰相マイユール公を筆頭に、統合作戦参謀本部グリッジ名誉大将ならびに高官一名、近衛兵団編制部の高官二名、甲種特務外渉部副部長、迷宮資源発掘開発部部長、先進技術特別財政委員会議長、王立総合魔術研究所名誉所長、」「……ああ、いい、いい。もういいわ」



 ウンザリ顔で報告を差し止め、薄く冷笑する。



「ポストが空いて良かったわねぇ。なに、名誉大将って。…他にも聞いたことのないのまで紛れ込んで。利権に群がる塵芥ちりあくたなど心底どうでも良い。『聖女』『賢者』はそのまま追跡、それとパトリオッタ『四番』、『魔物使い』ダイザを至急よこして頂戴。王城から近衛軍が到着するまでに、色々済ませておきたいの。急いで」


「はっ。ただちに」


「私は現地にいるわ」


「御意」気配が消える。



 パンデモーヌ伯は思わせぶりに小首をかしげ、……思い立ったかのように両手を叩いた。



「さーて、誰もいなくなっちゃったわね。全く不用心」


「ふふん?ごめんあそばせ」


 無造作に椅子から立ち上がり、いそいそと執務室を出ていった。

 ……ドアが音を立て、バタンと閉まった。



 ◇



「一体何だこの有様はっ!!…おいっ、そこの子供!一体どこから入り込んだっ!!これは一体どういう状況なのだっ!!さっさと説明せんかんがっ…!!」


 居丈高いたけだかに振る舞う男の額を『マジックボルト』で貫き、切田くんは肩で息を切らせながら一階の状況を確認する。


(…凄いな。こりゃあ。無双状態じゃないか…)先行する『聖女』の痕跡に、躊躇ちゅうちょはない。(…覚悟がきわまってるって事なのかな…)



 惨状が広がっている。力なく垂れ下がる兵士たち。奇妙にし折れた職員たち。通路の先へと伸びていく、血と体液等の戦闘の痕跡。――ステータス窓も設定窓もオープンしないので、ゴア表現のスライダーをいじくる事は出来ない。常時100%だ。



 王立総合魔術研究所の地下階。そこでは国防と国益の要である重要な研究(『勇者召喚』を含む)が行われており、階下には頑丈な鉄の隔壁が設置されて、部外者の侵入を強固に阻んでいた。――しかし今や、隔壁は何者かの手(…凄いね)によって潰れへし折れて開放されており、切田くんはひいこら言いながら上階へと駆け上がってきた所である。


(僕の方だって覚悟を決めなきゃいけない局面なんだろうけど。…覚悟なんて、決めると思って便利に決まるものでもないからな…)


 覚悟エアプの切田くんがに決意の空気をかもし出したところで、怖い顔作って深刻さアピールに酔って終わりだろう。邪魔にしかならない。(…まあ、僕の方も、出来る範囲でやるべき事はやっていこう)


 撃ち倒した高慢ちきのローブを引っぺがし、学ランの上から勢いよくかぶる。他よりも意匠の豪華な白ローブだ。偉そう。


 白ローブは血液で少し汚れはしたが、床に転がる他のものよりはずっとマシである。(この服で研究員に偽装すれば、無駄な戦闘は避けられるはずだ)


(…本当はこのまま『聖女』さんの後を追うべきなんだろうけど。…この通路はヘイトを誘引している。今みたいに敵と鉢合わせする可能性が高い…)


(…そこの子供、って言われたな。顔も何とかしないと…)周囲を見渡し、半開きの扉を覗いてみる。



(…食料庫!?ツイてる…)扉の内部は食料を貯蔵する部屋のようだ。水袋が裏干ししてあるので『マジックボルト』で覗き穴を開け、覆面代わりに被ってみる。


(よし)


 良しではないが、切田くんは大きな麻袋を戸棚から引っぱり出し、手頃な食料を詰め込んでいく。――先の見えない混乱の渦中とはいえ、食料は今後絶対に必要なはずだ。(急げ急げ!あさりの時間は少ないぞ!って…)



 ……小さな物音。人の気配。

 電気的に身をひるがえし、シャープペンシルを構えた。



(…敵かっ!?…殺るしかっ…!)――誰かいる。



 部屋の奥、戸棚の影で、施設のメイドらしき少女が座り込み、縮こまって震えている。



「……ひっ…んっ……」目を合わせた途端、メイドさんはヌメヌメした半乾きの水袋(裏地)を見つめて、……更に恐怖に顔をゆがませてシクシクと泣き出してしまった。


「……ぐっ……」切田くんは盛大にひるんだ。こんな事態は本意ではない。覆面だってかっこいいはずだ。(…泣かれたっ!!いや、見られた!?…待て、僕は幸いにして覆面を被っている。彼女を殺す理由なんてない!)


 部屋の外から、乱暴な足音と声が聞こえてくる。……最悪の展開。切田くんは心底焦った。(今度こそ敵っ!?…ま、まずいっ!?)「…すみません!!」


「ひっ!……ふぅん……」


「黙って!」


 メイドの少女は押さえつけられて、そのまま口を乱暴に塞がれてしまった。……うめき声を上げて硬直し、涙に震える少女。その口を後ろから抱きかかえる形で、切田くんは殺意と共に入り口の扉を睨みつける。



 兵士らしき声が聞こえる。



「ひでえな、こりゃあ」


「ニック!ニックがやられてる!…おい、しっかりしろ、目を覚ませっ!!」


「やめろっ!!見りゃ分かってんだろうが。…召喚勇者の暴走だって?」


「早く追いましょうよっ!!…畜生、痛かったろうにっ…」


「馬鹿野郎っ!」「痛っ!?」「…間抜け!俺ら民兵の手出し出来る相手か!!駐屯している衛兵隊が出るはずだ。奴らにやらせておけばいい!」


「あいつらなんて、態度ばかりの無駄飯喰らいじゃないですかっ!任せられるわけ…」


「…そんなに後を追いたいのか!?こいつらの!!」



 激昂。そして、無言の時が流れる。



「いくぞ。だが、決してこちらから手出しはするな。奴らにはせいぜい日頃のツケを払わせておけばいいんだ。…いいな、欲を出すなよ。巻き込まれるな。…いいな!!」


「…は、はい!」


 足早に遠ざかる足音。



 ……どうやら危機は去ったようだ。戦闘回避完了。切田くんは肩の力を抜く。



(…よかった。来ないでくれた。いくら覆面があるからといって、入って来られたら戦わないわけには、…って)


(……えっ?)ほっとした切田くんは、自分が今、ひどく奇妙な状況に置かれていることを発見した。



 ◇



 腕の中のメイドさんの様子がおかしい。――涙は止まり、強張った体はと言っていいほどに力が抜けている。……むしろ彼女は、こちらへと体を預けてきている気がする。(電車で寝てる人かな?)


「……んっ…しょ……」


 と身をよじり、メイドの少女は腕の中、半身はんみで振り返る。


 そのまま胸にもたれかかってきた。…まるで、大切な人に躰を預けるかのように。「……ふぅ」



(……なんでぇ?)切田くんは心底うろたえる。



 彼女はしなだれかかり、すっかり気を抜いてしまっている。衣服を通した少女の肌の熱さ。華奢で柔らかな感触。乱暴にされてみだれた襟元えりもとの隙間から、汗ばんだ白い素肌が露出している。


 メイドの少女は腕の中で窮屈そうに、胸に頬や耳を当ててくる。……うわずった声でつぶやいた。


「…心臓の鼓動おと…」


(なに言うとんじゃワレェ)切田くんの情緒は混乱した。


(意味が分からない。どういうこと?…そもそもこの子、どうして警戒を解いてリラックスしているんだ。…こんな状況で、なんで…)


(……『精神力回復』が自動で流れ込んでいるのか!?)



 ふと気づき、とする。



(『精神力回復』が流れ込みすぎて、おかしな効果を誘発した?精神にパワーが干渉して…)


 襲われ押さえつけられているにも関わらず、当の暴漢である切田くんの胸にうずもれて、少女は安心しきった表情を浮かべているのだ。距離感が狂っている。もしている。


(…なんだよ、それ。…それじゃまるで、【ブレインウォッシュ洗脳】と同じ事じゃないか…)


 理不尽な自責への懊悩おうのうが、酷く胸を焦がす。――とはいえ、焼き付いた知識の中には、『精神力回復』にそんな副次効果があった記憶などない。人の精神と思考をゆがめて、【ブレインウォッシュ洗脳】と同じようなコントロール効果など、決して備わってなどいないはずなのだ。


(…【ブレインウォッシュ洗脳】を解除するためにパワーを流し込んだ勇者くんには、そんな様子など微塵も無かった。…第一、『精神力回復』を使い続けている僕は、ちゃんとのままじゃないか。おかしくなんてなるわけがない)


(考え過ぎだ。さんざん怖がらせてしまったこの娘をスーパーパワーで無理にでも落ち着かせたことで、吊橋効果やストックホルム症候群のような依存の心が働いてしまったのかもしれない)そんなインチキチートで作られた好意でも、どこか嬉しいと思ってしまっている。……そう考えると切田くんは、胸の奥が重たくなった。



(…いや、駄目だ。ダメだろ、これ…)



(そりゃあ、モテたい気持ちはあるさ。…だけど、これじゃ関係性も何もない。『スキル』効果にあてられて、気分が捻子曲がっただけじゃないか…)


(…そんな一時の気の迷いにつけ込むなんて出来ない。すぐにでもここを離れないと…)メイドさんを引き剥がし(ものすごく残念そうな顔をされた)、語気強めに尋ねる。


「すみません、他に出口は!?」


「…そちらは外に通じていますよ。食べ物の仕入れに使う扉です」メイドの少女はハッとして、裏の搬入口を指し示す。…彼の役に立たなければ。


 そこにはたしかに頑丈な扉があり、わずかな隙間から日光が差し込んできている。


「…いいですか、僕のことは脅されて逃したと、ちゃんと兵士に言うんですよ。かばったように受け取られると本当に危ないですから。とにかくありがとう。…いろいろすみません!」切田くんは立ち上がり、食料袋をつかんで足早に搬入口へと向かう。



「…え、あ、あのっ!」



 メイドさんは慌てて声を上げた。

 振り向くことなくドアに手を掛ける。


(…こうやって、自分本位の押しつけ行為しか出来ないのが僕なんだから…)


(そんな奴が、女の子どころか他人に好かれるわけがないんだよ。…つまり、だと分かるって事だ。人の意に沿わない洗脳チートだなんて、冗談じゃない)



 搬入口の拒絶の扉が、バタンと閉まる。



 メイドの少女は立ち上がり、扉の向こうをじっと見つめていた。

 そしてふと、自分の胸に手を当てた。



(…なに、これ…)



 それは早鐘のように鳴っていた。



 顔が火照り、体が熱い。

 息が苦しくなり、のぼせたように足がもつれそうになっていた。



 彼女は戸棚によりかかり、高鳴る胸に手を当てて、ほう、と、上気しきった息をついた。

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