第10神話 決闘①
決闘の始まりとともに、刀を裂け目から取り出し即座に間合いを詰めようとするが、相手も此方に間合いを詰める。
マガミの爪と刀が火花を散らしながらぶつかり、ぶつかった時の衝撃波で周りの家具が粉砕する。
「よーし、久々にこの異空間でやるなぁ!いつ振りだろうな!高鳴るなぁ!全力で来いよ!!」
最近は暫くじげんの神の力を手に入れることだけに集中していたため、全く手合わせなんてする余裕が無かった。
けれどこんな形ではあるが強くなったマガミと戦えることに思わず興奮してしまう。
(おっと不味い。少しハイになった。ここでやるのはちょっと不味いな。こいつらの共同スペースが無くなっちまう。……まぁもう遅い気はするが。)
既にこの部屋は壁や床を含めて3分の2以上が破壊されている。
弁償代が本来なら気になる所ではあるが、闘争本能に駆られている今、そんなことはどうでもいい。
「…そこだ!」
そうしてマガミの懐に裂け目を発生させ即座に移動するが、その前にマガミは先を予測して、後方に下がり避ける。
「…くっそ。」
明らかに回避の精度が高すぎる。
間違いなく何かしらのトリックがあるはずなんだが…
「…お前のそれは何だ?予知では無いよな?もしそうだとしたら
言語が通じない相手にも、何故かこうして話し掛けてしまっている。
どうやら想いというものはしつこく心にへばりつくようだ。
「よし、そうとなれば……」
俺はまた裂け目の用意をする。
(次はあいつの……そうだな……鳩尾付近だ。)
そうして俺は空間をの裂け目から通じたマガミの鳩尾付近に向けて勢いよく拳を振るおうとする。マガミはそれを見て、裂け目を使って瞬間移動をして避ける。
恐らく
(後ろだろ?)
予想通り、俺は後ろを勢い良く振り返ると、その目線の先に一瞬で空間にひびが入る。
パリィイン!!
裂け目が開く。
そこからマガミが出てきて攻撃を仕掛け、そのまま巨大な爪で俺を切り裂こうとする。
…チャンスだ。
(今!)
爪が当たる寸前にマガミのいる場所に裂け目を発生させると同時に、後ろを振り向かずに爪を剣で受け止め、自分も裂け目を展開させる。
「一緒に来い!!」
そしてマガミと一緒に裂け目で自分の
ーーーー0.001秒後
広大な平野で草来は活き活きと育ち、明るい太陽が地面を照らし、水面にはきらびやかな太陽と木々を映し出す。その周りはキトンボが飛び交っている。そんなほのぼのとした空間を壊すようにこの空間に入り込む化け物達がいた。
「ここでに二人で来るのも久しぶりだなぁ!挨拶代わりにどうぞぉ!」
着いた瞬間に受け止めていた剣で横に攻撃を受け流し、その力を利用して回転する。
そして
「ずおぉりゃあ!」
ザシュッ…!!!
そして回転したまま、マガミの上半身を斬り付けることに成功した。
「グガァァッ!!!」
マガミから血が吹き出す。平和な荒野は突如として、血の飛び交う戦場へと変貌してしまった。
「ガァッ……ァ……ァ」
痛みで悶絶しているようだ。地面に転がりながらのた打ち回る。
絶好のチャンスを逃さないように、俺はすぐに間合いを詰めていく。
徐々に距離を詰めていき、ついには半径1mまでに近づき、マガミの体に刃を振りかざす。
(入った!)
マガミから目を離さずに本気で仕留めることだけを考える。
「グァァァァ………」
マガミが呻き声を上げながら裂け目を展開させようとするが、それすらも許容せずに両足を一瞬で斬り付ける。
「ガァァァァァァァァァ!」
マガミはもうのた打ち回ることも出来ない程の痛みで動くことすら出来ないようだ。
そして俺はすぐに裂け目から回復薬を取り出す。
(こういう野性本能丸出しの奴は窮地に追い込まれる程、強くなる筈だ。今のうちににこいつを気絶させて回復薬をかける!)
瞬間移動をしてマガミの首筋を狙い、剣の峰で叩く。
パリパリ……
その時、マガミの首筋に当たる寸前に裂け目の音が聞こえた。一瞬でマガミだけが包まれる。
ドッ!!
瞬間移動をする寸前に首筋に見事に命中したが、途中で移動してしまったため深く攻撃が入らなかった。
まだ裂け目を展開するほどの余力はあったようだ。
(ギリギリで逃げたか……こうなると面倒くさいな。)
マガミは少し俺から数十メートル離れた所に移動した。マガミはふらつきながらも立ち上がっている。
これはちょっと予想外だ。
(…じゃ、こっちを先にやるか……)
俺はマガミを止めるという第一目的でなく、もう一つの目的の為に動く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます