りんご

 私は、りんごに対し、

「あなたは赤い」

 と言った。

 りんごは、

「違う。赤じゃなくて薄い黄色だ」

 と言う。

 あぁ、そうか、薄い黄色か。と思った。

 考えてみれば、私の薄い黄色の部分は誰にも理解されていない。誰にも見ることができないから。

 赤いところで大体の判断を下されてしまう。

 味も甘いのか少し酸っぱいのか、食べてもらうことなく捨てられる。

 私じゃあの人に食べてもらえない。

 だから私は綺麗なりんごになれなくて。

 なれなくて、悲しい。

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