第13話

 所詮は、人生こんなものだ。


 結局、どんなに足掻いても、子供は親には勝てない…あがらえない。



 せめてもの反抗ぽくギャルの格好をして、髪まで染めて自己主張しても、相手にされず、親の言うがまま、なすがままに、あんな俺様クソ野郎との婚約まで受け入れてしまった。


 私の人生、詰んでると言っても過言ではないだろう。



 もう、あきらめるしかないのかな?


 ならば、せめて高校卒業までは、皆との思い出を糧に、私は地獄に堕ちよう。



 そう覚悟を決めたのに…


 そんな覚悟を決めた最中さなかに私の希望は尽く崩壊した。



 どうやら、あの俺様クソ野郎は、今すぐ私をご所望らしい。


 そして私は、なすがままに俺様クソ野郎の別邸に強制的に連れてこられた。



 エロい目で私の身体を舐め回すゲス野郎に無理やりベッドに引き込まれた。


 無理やり両腕を押さえつけられ、私の衣服を引きちぎりながら俺様クソゲス野郎はのたまう。



「やっぱいい身体してんなぁ〜、初めて見た時から、服の上からでも、むしゃぶりつきたいマブイ身体だと思ってたんだよなぁ〜、これからヒイヒイ言わせんのが楽しみだぜ」


「いや!やめて!」



「ここには誰も来ねぇよ!安心しな?結婚してからも可愛がってやるからよぉ〜」


「止めてぇぇー」



「嫌がる奴を屈服させんの、堪んねぇなっ!がっ!!」


「いやっ」



 私の胸の上に俺様クソゲスオラオラ野郎がかぶりつく。



 かぶりつく………?



 かぶりついたまま俺様クソゲスオラオラDV野郎は動きを止めた。


 何事?



 そっと片目を開けると、そこには信じられない人がいた。


 圭吾君が私の目の前にいる…



「よお、生きてるか?」



 まるで何事も無かったかの様に、圭吾君は私にそう語りかけた。



「なんで…」


「なにが?」



「なんでいるの?」


「さあな」



「ちなみに俺様もいる」


「やかましい、勝手に付いてきて何ふんぞり返ってんだ」



「酷いじゃないか!マイ・ブラザー!俺様だって役に立っただろう」


「はいはい、そうですね。いいから後始末しとけよ」



「酷い!俺様とは遊びだったのか!?」


「話進まないから、あっち行け!しっしっ」



「フハハハ!マイ・ブラザーはイケズだな!」


「使い方、間違ってるから。ほら、早く行け」



「へいへい」



 私、なんで唐突に、この二人のコントを見せられたのかな……?


 でも、いつもの二人で安堵と共に安心した。



「ねぇ、圭吾君」


「なんだ?真礼」



わたし助けてなんて言ってないよ」


「そうだな」



「なのに、何で…」


「何でって…僕、真礼お前に言ったよな?ポイント•オブ•ノーリターンは越えるなって」



「……」


「これ以上は駄目だ。これ以上は真礼、お前が壊れる」



「は、はは。何いってるの?わたしは大丈夫だよ?」


「いや、駄目だ。これ以上は真礼お前の精神が耐えられない」



「ほ、本当に、何、言ってるのかな?圭吾君ってば、預言者よげんしゃでもやってるの?このVUCAブーカ時代にビックリだよ」


真礼まあや!」



「なんでよ!ほっといてよ!圭吾君には関係ないでしょ!ただの高校生に何が出来るってのよ!そんなに言うなら助けてよ!無理でしょ?何も出来ないでしょ?出来もしない事を言わないでよっ!変な期待とか持たせないでよっ!」


「……はぁ、やっと言いやがったな。阿呆が。……分かった、助けてやる」



 そう言って圭吾君がスマホで電話をかける。


 電話越しに、何かを一言二言ひとことふたこと話した後、よろしくと伝えると通話を切った。



「終わったよ、全部」


「ふぇっ?なにが?」



 私が呆気にとられてると、私のスマホが突然鳴り出した。


 慌てて出ると、相手は父だった。



『真礼、婚約の件は白紙になった。詳しくは帰ってから話す。また後でな』


「え?」



 プープープー



 突然の事に、頭が回らない。


 一体、何が起きたの?



「とりあえずは、良かったな?だけど、こんな面倒くさい事は、もう懲り懲りだぞ?」



 そう言って、羽織っていたジャケットを私に掛けると圭吾君は苦笑くしょうしながら、私の頭を優しく撫でた。



 ……そんなの駄目だよ…そんなの…


 駄目…だよ…



 こんなん、好きになっちゃうよ…


 胸の鼓動が…ドキドキが止まらない…



 顔が熱い…


 圭吾君から目が離せない…



 なんで?


 なんでなの?



 なんで、私…友達の好きな人…好きになってるの?


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