第14話 攻撃開始

「イリス!」

「これを使え!」


僕は専用スキルの『貸出し』でイリスに炎魔法を渡した。僕が相手にしているドラゴンに炎のドラゴンがいるため、僕が持っていても仕方がない。それに僕よりもイリスの方が上手く使いこなせるだろう。


イリスの方で大きな音がなる。


イリスが使った、『灼熱火球』がドラゴンを吹き飛ばす。


「うわっ」


僕はびっくりした。僕が使ってもあんな風にはならない。スキルは使う人しだいなのか。


僕はイリスの戦闘を見て関心するが、僕は未だに一体も吹き飛ばすことができない。剣術と魔法を同時に使おうとするが、どちらかを使おうとするとどちらかが消える。僕はドラゴンに目眩ましをして逃げることしかできなかった。


再び大きな音が鳴った。


僕はまたイリスがドラゴンを吹き飛ばしたのだと思ったが、実際に飛ばされたのはイリスだった。イリスは壁にぶつかって倒れる。


「イリス!」


ドラゴンがイリスにトドメを刺そうとしている。

僕はイリスの助けに入ろうとするが、自分のドラゴンが邪魔で上手く抜け出せない。

イリスが攻撃される。


僕はどうしたらいい。

どうすればイリスを守れる!?

どうする!?どうする!?


僕は焦った。今の僕にはどうすることもできない。本能で分かっていた。


そのとき、僕は頭のなかで思い出す。

それは一冊の本の内容だった。


それは、唯一僕が『読破』で読めなかった本。


作者の名前がなく一度読んだら炭になって消えた。


なぜ、今になって思い出したのかわからない。

しかし、僕は本に書いてあった事を実践してやってみる。


まず、左手で魔法を出す。

そして、その魔法は頭の片隅に置いておくイメージで右手で魔法と同じ属性の剣技を出す。

最後に両方をイメージ。自分が完璧に魔法と剣技を使えているという、完成されたイメージをする。


この時、僕は鼻血が出ていた。僕は魔法と剣技を出して頭に負担が掛かったからだろう。

しかし、僕はそれに気づかなかった。

今、成功しているこの時を忘れないように、ものにできるように僕は集中していた。


「できた」


僕は右手に剣技、左手で魔法を出すことができたのだ。


僕は、まずイリスを助けにいく。


間一髪、僕はギリギリでイリスを助け出す。


「ミナト...」


イリスが僕に助けられたことに気がついた。


「イリス、そのままでいいよ」


イリスはボロボロになっていた。イリスに治癒魔法をかけることもできたが治癒は傷しか直すことができず、根本的な体力や疲れはどうすることもできないのだ。


そうなれば、僕がすることは1つ。早めに敵を倒す!


「ミナト」


僕がイリスにバリアを張り戦闘に入ろうとしたときイリスに呼び止められた。


「奴らの手にある宝石を狙え」


「わかった」

「もう休め」


イリスは僕の心配もせず、ドラゴンの弱点を教えてくれた。多分、僕ならできると思ってくれているのだろう。僕は嬉しかった。


僕はドラゴンに向かって走る。


僕は剣技と魔法を同時に使えるようになったが別々では属性はまだ使えない。


それなら、どうするか。

答えは、属性を早く切り替えればいい。


僕は、敵の属性に合わせ同じ属性にはならないように上手くスキルを切り替えていった。


ドラゴンの宝石が見える。


僕はすぐさま宝石に向かって攻撃した。


宝石は砕け、ドラゴンはその場に倒れる。


僕はその隙を逃さず、攻撃をたたみかける。


他のドラゴンに邪魔されながらも、まずは一体倒しきった。


僕は少しずつ一体ずつではあるがドラゴンを倒していった。


最後の一体。


炎のドラゴン、炎の属性はイリスに貸したまま。


僕は問題ないことを確認し水属性で攻撃した。


そのとき、何故か炎のドラゴンが水属性の攻撃をした。


僕はシールドを張ったが吹き飛ばされた。


「な、なんで」


僕は絶望した。


炎のドラゴンが水属性の攻撃をしたことにも驚いたが、それだけではない。

炎ドラゴンの手にはさっき僕が砕いたはずの水、風、土、光、闇の宝石があった。


そして僕を吹き飛ばした後、最後に倒した雷のドラゴンに死体を漁り砕けた雷の宝石を口にする。


そして僕は炎のドラゴンの手に炎、水、風、雷、土、光、闇の7つの宝石を確認した。

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