きみの見ている赤

道幸綾真

京緋色のスカートを買う 冬へ行く日々を楽しむ覚悟を決めて

京緋色きょうひいろのスカートを買う 冬へ行く日々を楽しむ覚悟を決めて




(↓二十首まとめて見る用)

京緋色のスカートを買う 冬へ行く日々を楽しむ覚悟を決めて

水筒を選んだ記憶が無いひとのために覚えておくカーマイン

性別がないと思った横顔はただの角度で火照りさえする

彼岸花にだって香りはあるだろう あの色を踏めるはずがないだけ

誰かから貰ったときしか食べないけどいちごアイスが好きと出まかせ

充血の赤はウサギと同じ色 守れたことを教えてくれる

オリパラのために国旗を審議する みんなが同じ血の色ですか

本当のことを日記に書けるなら真っ赤な嘘も書こう、歌には

さあ青に変えて渡ろう大丈夫もうじゅうぶん見つめただろう

芸術の秋を教わるための赤 あなたに会いに行きたいの色

わくらばが道を開いて不自由は後のひとへと自由をつくる

赤色を使わず作る招待状 学ばなくては聖夜に会えない

どの爪を赤くしようか サムズアップしてもきみには見えないのだし

色覚のくじを再び引けるならきみの見ている赤を当てたい

誰かから奪った誰かの取り分のおにぎり白く子の手は赤い

青バラとなってあなたに刺さりたい「花とは赤」を裏切ってでも

受け継いだ血赤珊瑚は魔女の証 メガネアクセにするのがイマドキ

秋だって紅雨を降らそう同棲をはじめたばかりのきみの家には

寒い日を愛せと言われているようで怖い色だと思ってた、でも

つながれし者だったきみがおのずから結わえたリボン 夜が明ける赤

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