12 緊迫!!『雷神』戦〜私いれば余裕っしょ☆
「何…?」
———『
デウスちゃんの呟き声と共に、城壁をなぞるように結界がドーム状に展開された。
「っ!?これは、主殿が…」
「ラスットめぇ〜時間かけ過ぎだよぉ。後で文句の一つも言ってあげなきゃね…これでもう逃げられないゾ☆鳴神ちゃん。」
そう言うと、鳴神ちゃんは腹を抱えて笑い出した。
「はっ、ははははは!!…どう足掻こうがこの俺が有利な状況は覆ってねえし元より俺は尻尾巻いて逃げるつもりもねえ。来いよ馬鹿ユティ…日頃の恨みだ。炭に…いいや。灰に変えて散らしてやる。」
「ん〜そんな事、言わないでよもう。これから私に負けちゃうんだからさ…悔しくて憤死しちゃうよ?」
「えっ、ユティ姉…!?そんな事言ったら…」
「へーきへーき。ちょっち耳貸ーして☆」
私がマキナちゃんに耳打ちを終えた時には、雷撃を一本の剣の形に凝縮したものを片手に私のすぐ目の前まで迫っていて…
「死ね!!!!」
「ほいっと。」
雷撃の剣が出現させた七色の宝石がはめ込まれた黄金の剣に触れた途端… まるで最初からなかったかのように、雲散霧消した。
「っ!?」
「…大神でもないし、神権もなくて、だからって人間でもない半端者だけどさ…私にはこれがあるんだよねぇ。さてと私は反逆者だし、試しにコレで鳴神ちゃんぶっ潰すかぁ〜♪」
途端に血相を変えた鳴神ちゃんが白い翼を生やして全力で私に背を向けて後ろに飛んで、カト帝国から何とか離脱を試みようとするが…
「『ブロッサム弾』装填完了。主砲…撃てぇぇでありまぁす!!!」
轟音と共に発射された2つの巨大な砲弾が数万を超える親指くらいのサイズの弾に分離して…その結果、結界を破壊して逃げようとしていた鳴神ちゃんの翼や背中をズタズタに貫いて、ハリボテの城下町に落ちていった。
「ねえねえ…鳴神ちゃんって生きてるかな?」
「……?『八重桜』の主砲がモロで直撃したとはいえ…相手は神でありますから。ちゃんと生死は確かめなければいけないであります!!所で、何故…事前に逃げるルート…座標が分かったのでありますか?それに、吾輩からはよく見えなかったでありますが黄金に輝いていたあれは…」
「ん?あ〜それはね…勘だよ。女神の勘。黄金のアレはね…実は私の秘密兵器なんだ!!ラスットには黙っててね?ここぞと言う時に使った方が…ロマンあるでしょ?」
かなり苦し紛れの言い訳だったけどそれを聞いた、マキナちゃんは目を無邪気に目をキラキラと輝かせていた。
「そうでありますね!!ロマンは物事の全てを凌駕するでありまぁすから。」
「あはは……そうだね☆」
数分くらい甲板上で閑談を楽しんでいると、唐突にアナウンスが流れ始めた。
【警告。第零号主力戦艦『
「「……えっ?」」
【4…0秒。全動力停止…ほな、お達者で〜】
「いくら面倒だからって、カウントダウンを怠けないでくれであります!!」
「そうだよ!?何が『ほな、お達者で〜』だよ!!私達を見殺しにするつもり!?動け、動けっ…動いてよぉ!!」
普通に燃料が切れた以上、物理的に考えてそれが聞き届けられる訳もなく…物凄い音が響いて城の近くに落下した。
「………い、生きてるでありまぁすか?」
「こっちは何とかね…はぁ〜疲れたよ。」
お互いの無事を確認して抱き合っていると…聞き覚えのある足音が聞こえて来て……
「…ピキーン!!この反応は……主殿!!!」
「ん?どったの、ラァスト…まさか混ざりたいのかにゃ?いいよ…来なよ。特に今日はマキナちゃんがオススメだぜ☆」
「ぁ!?…吾輩を計ったでありまぁすか!?!?」
「いやいや〜私は別に何も言ってはいないよ?それとも…言って欲しいのかな?かなぁ??」
「とにかく、今だけはいくら主殿でもダメでありまぁすよ!?こっち来ないででありますっ//」
「どうでもいい……で。どうなった?」
「ほんっとお真面目さんなんだから。ま…今はいっか☆」
恥ずかしがっているマキナちゃんに代わって、今まで何があったのかを私にとって色々と都合が悪い部分は省いて、説明してあげた。
「雷神に『八重桜』の主砲を直撃させた…か。マキナ。」
「ひゃ…これ以上は近づかないでくれであります、後生でありまぁすから!!!」
「…?まずは雷神の捜索を始めてくれ。見つけ次第、出来れば保護して玉座へ連れて来て欲しい。」
「り、了解であります!!スタコラサッサ〜でありまぁす!!!」
マキナちゃんがまるで疲れも忘れた様に走っていった後…私は空気を読んで、ずっと黙り込んでいるラストに問いかけた。
「ねえねえ、私は?私は??」
「ユティは俺と来い……話がある。」
「ま、まさか…えっちな事…されちゃうの?」
内容が内容だけに軽く茶化してみたけど、ラストは何も言わずに城へと歩いて行ってしまう。
(…もっと頑張らなくちゃ。)
「…おい。」
「ちょっ、待ってよ〜!!ラスット!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます