第20話 女神の像
「お久しぶりですベールズ男爵。それで以前お話した本は入手出来たかしら?」
「えっと…それが難航しておりまして…だいぶ年数がたっておりますから…」
フェミニアがベールズ男爵に何かお願い事をしていたらしい。
目の前に皿に載ったケーキが運ばれてきた。
見た目は同じもののようだけど…。
「いただきます」
ケーキにフォークを刺してみた。
そっと口に運ぼうとすると…。
『ソウタ、大きくなって良い?』
コルネットから声をかけられた。
あーそういえば、男にナンパされるから妖精サイズになってってお願いしていたんだっけ。
『ソウタと同じ風にケーキ食べたい…』
コルネットは食いしん坊だな。
気持ちは分かるけど。
ケーキは人数分置いてあるので問題はない。
「いいよ。あ、ちょっと待って」
「あの…今からコルネットが大きくなりますが驚かないで下さいね?」
一応ひとこと言っておいた。
後で驚かれても困るし。
「コルネット、いいよ」
目の前に薄く、もやがかかった。
『小さいのも楽なんですけど、何だか寂しくなっちゃうんですよね。何でだろ』
突然現れた美女に、ロペスさんとベールズ男爵は固まった。
「「え?」」
前もって言っておいたのだけどそれでも驚いたようだった。
『わーい。ケーキ♪一度食べてみたかったんですよね』
「この美人は誰?」
「コルネットちゃんか?」
『わたしはコルネット女神でっす…ん~甘ーい。幸せです~』
ケーキを頬張るコルネット。
顔を
食べてみると、リンゴのような果実が入っているようだった。
サクサクと食感が心地よい。
アップルパイに近いかな?
「気のせいか?女神って今、聞こえたのだけど…」
「ワシにもそう聞こえたぞ」
「一応コルネットは女神さまです。僕を異世界から召喚したんですよね」
「何と!ソウタさんは異世界人じゃったか!通りで魔法詠唱が無かったわけだ」
「昔話に聞いた…召喚術?」
二人とも驚きすぎじゃないだろうか。
フェミニアは、そんな様子もお構いなく目の前のケーキをしっかりと食べていた。
「あ、あの女神様、色々と聞きたいことがあるのですが…」
ベールズ男爵がコルネットに近寄る。
女神像が欲しいっていうくらいだから信者なのだろうか?
いや、この世界では信じているのが普通なのだろうか?
『お願い事なら聞けませんね…いちいち聞いていたらキリが無いし…』
と言いつつ、ケーキはしっかり完食していた。
「あのっ!アイリーン様って今はいらっしゃらないのですか?」
『これ…言っても良いのかしら。他には言わないでほしいのだけど、アイリーンは人間と一緒になってもう亡くなっているわ』
目の前にアイリーンを模した女神像が置いてある。
恐らく高いお金を出して購入したのだろうけど。
「亡くなっている?女神さまが?」
『正確に言うと、人間になったので寿命で亡くなったのよね。今はわたしが女神をしているって訳。これで良い?』
「な、何故人間になったとかは…」
『まあ…300年経ったからいっか。当時の勇者と恋仲になって結ばれたのよ。それで人間になったって聞いたけど…』
へえ~そうなんだ。
これって
ベールズ男爵はしばらく呆けていた。
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