第2話 洋服
『わたしが召喚しておいて何ですが、ソウタ大丈夫ですか?顔色が随分悪いですよ?』
コルネットに顔色が悪いと言われてしまった。
本当に疲れていたのだろう。
僕は早めに寝ることにした。
『ソウタ、おはよう。だいぶ顔色が良くなったみたいね』
あれ?ここは…。
見知らぬ天井を見て思い出した。
そうか異世界に来たんだっけ。
夢じゃ無かったんだ。
小さい女神が僕の顔を覗き込んでいた。
「コルネットおはよう、ありがとう。心配してくれたんだね」
随分寝たみたいだ。
体がスッキリしていた。
『朝ご飯は下の食堂で食べられるみたいよ』
どうやら先に訊いてきたらしい。
そういえば、昨日夕飯を食べ損ねていた事を思い出した。
妖精はこの世界では珍しくはないらしい。
「お客様は精霊使いなのかね?ほら、妖精を連れているし」
一階の食堂に行ったら、宿の女将さんが僕に声をかけてきた。
そういう感じなのか。
話を合わせておくか。
僕は軽く会釈する。
喋るとボロが出るから無言だ。
「妖精って精霊使いなんだ」
『そういう事にしといたらいいんじゃない?説明するの面倒だし』
コルネットの性格が分かってきた気がする。
テーブルに座ると、女将さんが朝食を運んできてくれた。
丸いパン、ベーコンと目玉焼きとスープ。
コルネットはパンをちぎって食べていた。
パンはまだ温かくて柔らかかった。
「コルネット!出来立てって美味しいんだね!」
僕は手作りのパンに感動していた。
甘い食感がふわっと口の中に広がる。
二つあったパンはあっという間に無くなってしまった。
少し残念に思っていると。
ふと誰かの視線を感じた。
宿の客なのだろう。
コルネットじゃなくて僕を見ているようだ。
「コルネット、僕って目立ってる?」
『あーその服装だからじゃないかな』
僕は上下学生服を着ていた。
ズボンは黒だから目立つかな。
確かに、他の人達と恰好が違うかもしれない。
「服、買うしかないかな…」
お金あまり使いたくないけど、仕方ないよね。
町の洋服屋へ行くことにしたのだけど。
コルネットがどうせなら防具店が良いと言った。
服を買うのに防具って…?
*
魔法専門の防具店に入った。
杖とか帽子、マントが売られていた。
盾も売っていたが、魔法が施されているらしい。
『ほら、このマントとか良いでしょ?』
マントで服が隠れるからかな。
それと魔法が施されているから防御に優れているとか?
「マントね」
正直着るのに勇気がいるな。
この世界では普通の恰好なのかもしれないけれど。
名札を見ると、値段は金貨二枚らしい。
高級品じゃないだろうか。
『ほら、悩んでないで買った、買った!』
コルネットに背中を押されマントを買った。
緑色のマント…色は好きなんだけどな。
『ほら着て、着て』
店の外に出て、マントを羽織ってみた。
不思議と町の人の視線が逸れた気がした。
『それ、軽い
そうだったのか。
マントを着るのが恥ずかしいのは、しばらくすれば慣れるかな。
『ソウタ、意外と似合ってるよ!』
意外と…ね。
まあ別に良いけど。
その他、洋服屋へ行って普通の服と下着も買った。
替えの服が無いと困るからね。
派手なデザインが無くて素朴な物が多いみたいだ。
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