1ー9 熾星終晶刀
「……………………………………っぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁううううううううううぅぅぅぅぅ……………………………」
事情を知らない者が見れば精神の異常を疑うような長く、低い奇声。
だが彼を止めたり、精神疾患を疑ったりする者は1人もいない
その声の主は梶原優人。
彼は療養用のベッドで横たわっていた。
そして彼は言う。
「知らない天井だ…」
と。
彼の『異世界にきて言いたいことリストNo.10』にも入るこの重要な一言を。
日本では、いきなり知らない天井を拝むことなんて滅多にない。
あるとしたらトラックに跳ねられていきなり病院送りになった時や、気絶させられて悪いおじさんに連れて行かれて監禁された時くらいだ。
いずれにせよ滅多に起こらない。
トラックなんて、跳ねられたにもかかわらず生きて病院に行けることなんて無いと言ってもいいくらいだ。
それなのに、だ。
異世界に召喚されて2日目、もうすでにこの言葉を言っている。
やはり異世界はおもしろい。
閑話休題
彼のいるベッドの傍には黒い鞘に金と青でささやかな装飾が施された日本刀が立てかけられていた。
そう!
彼は刀を手に入れたのだ!
先に試験について話そう。
はじめに結果について。
負けた。
まあ当然の結果と言えるだろう。
むしろ手加減してもらっていたのに押され気味だった僕が気合と根性で勝てるのならば努力なんて必要ない。
僕は負けるべくして負けた。
あんな大見得きっておいて。
でもまあ気分は悪くない。
伸び代がまだまだあることはわかった。
それに、自分より圧倒的に強い者と戦ったことで経験値もたくさん手に入ったはず。
でもステータスを見るのは後に取っておく。僕には先にやるべきことがある。
ベットの傍にある刀を手に取る。読者の皆は思ったのではないだろうか?
『お前なんとかクロムって奴持ってるじゃん』と。確かにアレを使えば刀を作ることはできる。イルテンクロムの存在を伏せているので大ぴらには使えないが、とにかく刀を作ることはできる。
刀だけでなく槍も、剣も、斧も、盾も、鎌もレイピアもハルバードも弓だっておそらく作れる。もしかしたら銃も作れるかもしれない。
それにも関わらず、僕が宝物庫の刀を所望した理由、それは………
手の中にある刀の鍔を少し押してゆっくりと鞘から刃を抜く。ベッドの上で寝たまま刀を弄る今の光景は周りの人から見るとハラハラするものであるが、そんなこと、僕の知ったことではない。
完全に刀身が鞘から出る。
そして銀色に鈍く光る刃を暫く眺めていた僕は静かに笑みを浮かべて呟いた。
「やっぱり」
刀身は今、黒に染まっていた。
元は確かに銀色の刀身が光る普通の刀だった。
なのに今は黒に染まっている。
それだけでなく、所々に金色の斑点があり、夜空に輝く星の如く、存在を主張している。
宝物庫にある、創造スキル持ちの過去の勇者が作り上げた刀
それがただの刀であるはずがない
ましてや過去に何者かに盗まれたにもかかわらず残っているほど厳重に守られた刀だ。何かあると思っていた。
だからあんなに痛い思いをして戦った。
では
お待ちかねの鑑定ターイム!
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星神の神器をイメージして作られた世界に一振りの刀
神器のレプリカ
勇者・天野竜聖の最高傑作
破壊不能
魔力伝導効率強化
3つの固有スキルを保有
・星の恩恵
・星転斬
・
使用条件
幻獣種 レベル700以上
主人として認められること(初めて刀の能力を使った者になること)
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星の恩恵
刀を使用している時に限り、刀に込める魔力や、
刀の能力発動に必要な魔力を星の持つエネルギーが一時的に肩代わりする
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星転斬
フルオートで自由に転移する斬撃を飛ばす
絶対不可避
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任意の星を破壊し、その星が持つエネルギーを
魔力に変換して使用可能にする。
星のエネルギーを分散させることはできず、超火力の一撃のみ発動できる。
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いや〜とんでもないね
ちなみにこの刀はジェラルドさんが選んだ。
王の許可は取ったって言っていた。
後で知ったんだけど、ジェラルドさんって王様の従兄弟らしいよ?
いや〜なんで『王は許可するけど俺は許可しない』みたいな偉そうなこと言ってんだろ。って思ってたけど従兄弟だったのかぁ、納得納得。
閑話休題
1番いい刀をって言ったらこれが届いた。
昼過ぎに言ったのに宝物庫の物がもう届くって、
それにしてもレベルOverってこの国にあったんだな。
っていうかよく僕に渡してくれたな。
【
王様と天野竜聖君に感謝感謝。
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